秀1 もう我慢しない短い持ち時間
我慢に我慢を重ねてきた人生。そろそろ羽根を伸ばして、自由気ままに生きよう。残り時間はだんだん少なくなる。
秀2 猛暑日は我慢強さが命取り
暑さを我慢してはいけない。熱中症に気がついたときは、動けなくなっていることもあるらしい。
秀3 我慢しているのは夫かもしれぬ
夫婦の我慢の句は沢山あった。しかし、相手の我慢に思いつく発想がいい。
寒さなら我慢できると思う夏
暑い夏には寒さなら我慢できると思う。冬になれば暑さなら我慢できると思う。そこが見えているのが楽しい。
わたくしが我慢をすれば済む話
我慢のありようををさらりと表現している。同想句「ワシ一人我慢をすればそれで済む」(選外)があったので、秀句にできなかった。
暫くの我慢のはずがまだ仮設
能登地震、奥能登豪雨のため、まだ2万人近くが仮住まいを強いられている。熊本地震でも随分長い間、仮設住宅での生活だったと聞いている。
ゆっくり介助食べる速度に合わせつつ
「食べる速度に合わせる」という食事介助も忍耐のいる仕事だ。
静止五秒十字懸垂耐えている
体操の十字懸垂、見るからに我慢している。発想を広げる佳句。
混雑を承知で見てるゴッホ展
いくら混雑しても「本物」を見る機会は少ない。
暑くても涼しい顔で着る着物
なるほど、これはやせ我慢。
以上、10句の選評でした。
なお、川柳すずか10月号P17の「キャッシュレス行き渡ったら困るすり」の作者は田沢恒坊ではなく、梶井良治です。
恒坊さん
ありがとうございました。あと二回どうかよろしくお願いします。
名前の間違いは、他の方から指摘いただいて、訂正文を11月号に書いているところでした。ご迷惑おかけしました。