北原おさ虫です。では私も秀句と佳句のコメントをさせていただきます。
秀1 補聴器を外した母は無敵です
実は私もこの句のような体験があったのです。認知症の父は耳も遠く、いつも頓珍漢な受け答えをして家族の爆笑を誘っていました。でも家族は心でみんな泣いていたのです。この句も「母は無敵です」と一見、コミカルに詠んではいますが、作者の内心は逆だったのではと思いました。頓珍漢な老人は他人から見たら笑いのネタかも知れませんが、身内にしてみると、とても悲しい事なのです。実感句でした。
秀2 イヤリング外してオフに切り替える
イヤリングしている時が「オン」で外した時が「オフ」・・と云う事は接客業の人かなとも思いましたが、それはちょっと深読み。誰でも寝る時はイヤリングを外しますからね。外すと言う題でイヤリングを持ってきたのはこの句だけでした。考えてみれば「外す」と「オフ」は近いです。着想が良かったと思います。
秀3 嫌な予感ゆっくり外す聴診器
凄い観察力です。医者は何も異常がなかったらすぐに聴診器を外し「大丈夫。異常なし!」と言うはずなのに、ゆっくり聴診器を外されると、これは何かあるなと患者の方も勘ぐってしまいます。医者の仕草を見て句にするとは大したもんです。ところで、予感は当たったのでしょうか?
ネジ外し穴の不満を聞いてみる
何か不具合が発生してネジを外した時の句でしょうか。不具合を見つけることを「穴の不満を聞く」と詠んだのは素晴らしいです。しかも擬人法で作られています。これぞ川柳!です。上五を二句一章形式で読むともっと余韻が生まれたかも知れませんね。
値引き札そっと外して見る定価
誰もが一度は経験があるのではないでしょうか。一体元はいくらだったのか、それが分からないとホントに安いのかどうか分かりませんからね。膝ポンの句なので、他に同想句があるのではと、ネットで検索してみましたが、無かったです。「そっと」が如何にも人間の心理を突いています。
反論はせずに黙って席外す
「席を外す」の句は多かったです。この句が面白いのは、あえて反論せずに席を外すことによって結果的には反論していると言う人間の心理を詠んでいるからです。席を外された人も、その時は気がつかなくても、後になって「しまった、あれは当て付けだったのか」と気がつきます。作戦成功!
武勇伝語りだしたらお手洗い
「外す」と言う言葉は使っていませんが、この句も「席を外す」と同じ意味の句です。「お手洗い」が実にうまく効いていますね。武勇伝は初めて聞くのは面白いですが、大抵は何度でも聞かされますので、この手を使ってみるのも面白いかも。でも同じ相手にそう何度も使えませんが・・。
良き妻の仮面を外す二十二時
「仮面を外す」と言う句も多かったです。この句を読んだ時、何で二十二時?と思いました。良き妻がどんな女に豹変するのでしょう。二十二時と言うと寝る時間でしょ。ますます興味津々です。それにしても、二十二時までは良き妻であると言うのも私には羨ましいです。
今回もいい句をいっぱい読ませて頂きましてありがとうございました。勉強になりました。また来月もよろしくお願い致します。次回は「狂う」です。今の世の中、完全に狂っています。句であなたの怒りを吐きだして下さい。
ネジ穴の句
勉強になりました。いいなと思ったのは同じですが、解釈が少し私はズレました。
ありがとうございました。
今度は「狂う」
もうとっくに狂っている私、頑張ります。