秀1 命名書朝陽の見える場所に貼る
誕生を心から喜んでいらっしゃる句だと思いました。「朝陽の見える場所に貼る」は、光ある人生を歩んでほしい、という願いも反映しているように感じました。
秀2 旅雑誌付箋ばかりの介護の手
短期間ですが身内の介護に関わって心身ともに疲れ切ったことがあります。「今は頑張って」などと軽い言葉をかけるつもりはありません。ただただ頭が下がる思いです。
秀3 減便の貼り紙春の停留所
最近、ダイヤ改正のたびに減便になっている気がします。希望、初々しさ等を連想させる「春の停留所」だけに、減便の知らせがいっそう寂しく感じられます。
貼り紙で職場の破産知らされる
これほど衝撃的なことがあるでしょうか。生活に直結する大切なことを紙切れ一枚(または数枚)で伝えられるとは。しかも、これが現実に行われている、というのがなお辛いところです。
ラジオ体操元気印が貼ってある
ラジオ体操には血管年齢や体力年齢の若返り、骨粗しょう症の予防など数々の効果があるようです。「ラジオ体操」と「元気」は無縁ではないと感じています。
不都合な記憶の上に黒シール
黒塗り公文書を思い出しました(ただし、「塗る」より「シール」の方が、より簡単に美しく覆うことができる印象があります)。しかし、文書と違い、不都合な記憶を隠すことはできません。それがわかっているからこそ、黒シールの存在が魅力的に映ります。
アマビエを貼って六年脱コロナ
罹患する事実は今も変わりません。しかし、メディアで扱われることもほぼなくなり、アルコール消毒液が設置される店舗も徐々に減る今、新型コロナウイルス感染症に対する不安・恐れは薄れつつあります。恐怖心を忘れたわけではないけれど、以前ほど意識することもなくなった、という時期がちょうど「六年(=今)」なのだと思います。そして、「脱コロナ」は感染症根絶ではなく、(先ほど述べた)私たちの意識の変化を指しているように思いました。
息詰めて付けるスマホの保護フィルム
一読して、「わかります!」と心の中で叫びました。うまく貼れたと思っても、よく見るとあちらこちらに気泡が。空気が入らないように集中して付けている様子がよく伝わりました。
適格な選評 ありがとうございました。
句がよりよく見えますね。勉強になります。
コロナに罹った話を(わたくしごと)、今(ほかの所に)書いていて確かに怖れや危機感は薄くなっていますが、そのために連日感染者があとを絶たない様子(近所のクリニック)
軽い気持ちで言っていた「かからないに越したことはない」これ、改めて思います。はい。