誰だっていいのひと言くだされば　　　　　　　　　　　　　　　伴久
どなた様？ウチはそろそろ寝る時刻

寝てないで呼名をしろと叱られる　　　　　　　　　　　　　　久美子
化粧などして別人になりすます

受話器取ったらプツンと切れた電話口　　　　　　　　　　　のりこ
誰にやるのか娘がマフラーを編んでいる
誰にでもすぐなつくので困る犬

誰よりもあなたが好きと皆に言う　　          　　        　　たかこ
げんこつを作ると誰か殴りたい

ご呼名がないので没ということに　　　　　　　　　　　　　　久美子

子孫繁栄誰にでも付く草の種　　　　　　　　　　　　　　　　のりこ
紅白に誰か分からん歌手が増え
誰の皿こんな汚い食べ方は

突風に誰かの鬘飛んでゆく　　　　　　　　　　　　　　　　　たかこ　　　　　　　　　

指定席私の席に誰か居る　　　　　　　　　　　　　　　　　　のりこ
誰の足踏んだかわからんがゴメン

靴が無い誰かの靴は残ってる　　　　　　　　　　　　　　　　良夫

拍手無し誰も知らない歌終わる　　                   　　　　吉一
グループが誰かを敵にしてまとめ
誰でも良いヒッチハイクに止められる

誰も敷いてくれず自分で敷くふとん　　            　　　　久美子
名を聞かれややむっとするエライ人

誰の仕業チークダンスが撮られてた　　　　　　　　　　　　吉一

楽しみにしてたケーキが消えている　　　　　　　　　　　久美子　

リアクション誰もくれない寒い空　　　　　　　　　　　　　　たかこ　　　　

誰もいない車両怖くて移動する　　　　　　　　　　　　　　のりこ
誰にでもできると役を押し付ける 　　　　　　　　　　　　　　
誰のんか分からんけれどちょい借りる

裸婦像のモデル詮索してしまう　　               　　　　久美子
誰かしてくれるわたしがしなくても
誰からも指輪もらえぬくすり指

誰ですか　僕を拝んでいる人は　　　　　　　　　　　　　　　（軸）

柳歩作品（橋倉久美子選）

誰も見てないと確かめてから拾う　　　　　　　　　　　　　柳歩
会費さえ出せば誰でもいいらしい
誰とでもくちづけをするハーモニカ
誰でもというわけにも行かぬ美人の湯
遅刻する人はいつでも同じ人
番号で呼ぶ銀行も刑務所も
犯人と張本人はやや違う
写してはあげたが誰か分からない
仏様には誰だってなれそうだ