席題29「腹 」秀吟28句(出句順)久美子選
 


別腹も小腹もあってよく太る                  柳歩

腹の虫ちょっと黙らす飴一つ                 のりこ
腹探る会話がぎこちなく進む
腹を割る話にとりあえずビール

腹の無い人に打ち明けバカを見る                         吉一
腹筋の妻に足首持たされる

肝臓にわるい胃袋にもわるい                             柳歩
腹芸という履歴書に書けぬ芸
腹立てて帰ったことにされている                
腹黒い男とみればそう見える
顔色に出さぬが腹は立っている
モーツアルトを聴かされている腹の中

腹つづみ痩せた狸は陰で打つ                                 吉一
服従の証拠は腹を見せている
関取の闘志横腹叩くだけ

宥めればなお煮えてくる腹である              伴久
皺腹を撫でてロマンス思い出す
しょうもないことにも立てる老いの腹
「そぎゃんこつなか」と腹かきよらすばい

党首討論小さな腹を探り合う                            柳歩
根性の悪さが胃カメラに映る
逝くときは腹もしぼんでいるだろう
空腹のまま駆けつけてきたお通夜
お悔やみを言ってる腹が鳴っている

へそのゴマまでせり出して来たメタボ            吉一
腹痛より頭痛の方が賢そう

バイキング高い物から入れる腹               のりこ 
腹立てて書いたとわかるメモ用紙

腹ペコになってきたので帰ります               (軸)

久美子さんの「腹」    柳歩選

それはそれ今は腹一杯食べる               
腹のない人だが力にもならぬ                              
ヘビの腹まだ抵抗をするカエル
腹ばいで寝るとよだれで目が覚める
ぜいたくが腹の辺りに溜まりだす                         
油断しているなおなかを見せて寝る
とりあえず腹痛と言う保健室
バリウムを早く追い出したいおなか