ふるさとの家の隣の子がママに　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　のりこ
ふるさとの落花生なら上機嫌 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遼
ふるさとの事件報じているテレビ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　久美子　　　
ふるさとは同じ苗字の家ばかり
ふるさとは今でも由緒ある土葬
ふるさとも遠のく母の七回忌　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　骨太
ふるさとの地形も変えたハイウエー
ふるさとはよいとこ川にお湯が沸く                                                   　　伴久
ふるさとへ飾る錦がまだ織れぬ
ふるさとを捨てた訳ではない鴉
ふるさとも様変わりして水臭い
ふるさとへ帰る電車の遅いこと　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　のりこ
ふるさとも今頃彼岸花が咲く
ふるさとはおまえだなんて憎い人　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　たかこ
ふるさとの祭りが近い風の使者
ふるさとに一番似合うあきあかね
ふるさとへ帰りたいよと外来種 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　修
ふるさとに続く渋滞なんのその
ふるさとよいま住む町は捨てられぬ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　骨太　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
ふるさともロバのパン屋がやって来る
ふるさとが転勤族で七つある　　　　                                                       　修
ふるさとを壊すな鮭が戻れない
ふるさとが同じと言われ気を許す　                                                   　たかこ
ふるさとを忘れた白い彼岸花　　　　
ふるさとに見せてやりたい力瘤　　　
ふるさとの風景にある丸ポスト 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かずこ
ふるさとで暮らし 還暦間近なり
ふるさとに選挙になると戻らされ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉一
ふるさとへ遠慮なく来る猿の群
ふるさとからメール飲酒に気をつけて 
ふるさとへどかっと寄付をしてみたい　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 骨太
ふるさとだ　なにも自慢はないけれど　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 たかこ
ふるさとに日に一本のレールバス
ふるさとに産廃捨てた馬鹿がいる
ふるさとの人の名がある訃報欄                                                          久美子
ふるさとの廃村にある本籍地
ふるさとの歌で長びくクラス会　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 骨太
ふるさとの夢を時々見るキリン　　　                                                     久美子
ふるさとのこと思いつつ爪を切る
ふるさとの手紙代わりに栗届く　　　                                                   　金庫番
ふるさとの味が嬉しい芋煮会
ふるさとを沈めたダムが涸れている　                                              　　久美子
ふるさとにしようと買った家なのに
ふるさとを缶詰にして持っている 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 たかこ　
ふるさとの旬を仲間へお裾分け　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金庫番
ふるさとの道の狭さにとまどいぬ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　久美子　　　
ふるさとのバス停の名がなつかしい
ふるさとの山の形はそのままに　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　良夫
ふるさとに何のゆかりか誓子の碑　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 骨太
ふるさとの冬の凧揚げこま回し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　良夫
ふるさとにタイムカプセル埋めてある
ふるさとで父の遺影と酌み交わす
ふるさとのマンモス校を卒業す
ふるさとも踊り手難の盆踊り 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉一
ふるさとの寺の甍は苔むして 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金庫番　
ふるさとを忘れないでと彼岸花

ふるさとはキノコをナバと言うところ　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　柳歩（軸）