席題18「歳末風景」秀吟3 3句(出句順)柳歩選

 

ポインセチアが玄関で待つクリスマス           のりこ

忘年会参加せずとも暮れる年                良夫
夢かける年末ジャンボ買い増して              

家中の汚れ気になる12月                  のりこ
歳末ジャンボ皆当たる気の長い列
南天万年青正月待って赤くなる

紅白を止める勇気はないらしい              久美子 
十二月財布のひもがついゆるむ
出せ出せとせかされている年賀状

年一度のソフト使って年賀状                                   吉一
やけくその犯罪も出る歳の暮れ
糖尿へ歳暮の酒を隠す妻

電飾をしつらえ孫を待つばかり                良夫

暮れだからって別に忙しがらずとも                       のりこ
年末年始9連休をどう過ごす

今年またそんなこんなであと十日                              伴久
あばら屋がこんなに広い大掃除

お歳暮の肉が待たれるようになる               吉一
忘年会の後も宿題残る趣味
蛍光灯暮れに老兵変えられる
忘年会日帰りも居て乱れない

そこここを片付けている十二月                久美子 
年休をたっぷり残し年暮れる
誰が見てるのか年末バラエティ             
プリントごっこがまだ現役の我が家です
新年会のために胃腸を休めよう
ちょいちょいと拭き大掃除したつもり                   
目をつぶりやり過ごしたい年の暮れ
新聞に蟹のチラシがまた入る
大晦日の日の出拝んでもらえない
カレンダー掛け替え何となく豊か

一年に一度数の子買う売り場                 のりこ
紅白に備え早めに入る風呂

メリークリスマスいきなりナビのお姉ちゃん                   (軸)

柳歩作品(橋倉久美子選)

シャッターの降りた街にもクリスマス
散髪に行く日を延ばす12月
暇人はやっぱり暇である師走
門松を積み軽トラが前を行く
越年をして年俸を妥協せず
それなりの門松が立つ店構え
帳簿だけ妻にも賞与出しておく
年賀状書いて今年を締め括る
大晦日の夜もやっぱり二人きり
日帰りで明日は帰って来る愚息