席題  25「太陽」秀吟28句(出句順)柳歩選
 

太陽だった頃を小出しにするワイフ               伴久
他人さまに照る太陽が眩しすぎ
日の丸の旗を悲しまさぬように

おばさんのお肌お日さま恐ろしい                のりこ
傷心に直射日光まぶしすぎ
吊るし柿お日さま甘く甘くする

太陽を休ませたいと雲の愛                   たかこ

日の暮れが早くご飯も早くなる                 のりこ 
日没は早い仕事ははかどらず

宿の自慢夕日の見える露天風呂                閑雲
お天道様へ逆らい生きた青春譜

太陽のサービス虹を出してくれ                 久美子
お日さまを吸って満足したふとん
日焼けすることはまずない足の裏
朝日だか夕日の絵だかわからない
太陽に向かってオオカミは吠えぬ                       
太陽を見たいと思わないモグラ

茶飲み友だち以上の人と日向ぼこ               のりこ
日の丸はためきNHKに朝が来る

やっと呼名できて薄日が差してくる                         久美子
晴れたので家事に追われる日曜日
狭い家だがお日さまはよく当たる
マンションが建ってお日さま拉致される

筋違い太陽恨む温暖化                       吉一 
日焼け跡記憶が戻る夏の海

母さんは太陽だよと教え込む                   たかこ

拝まれたことはあんまりない夕日                 久美子 
拝まれるわけが初日にわからない

うらぶれの旅に真っ赤な陽が沈む                 (軸)

柳歩作品(久美子選)

太陽もいつかは死滅する運命
太陽のことさら好きな甲子園
太陽に吠えてもあまり意味がない
東から西 太陽に芸がない
太陽の下ではお酒よりビール
美しい夕日と海と露天風呂
太陽に責任はない日射病
半井さんが言うと太陽出てくれる
太陽が聞き間違えて雨になる
観覧車に遮光ガラスは似合わない
布団干すため訪れる子の下宿
陽のあたる道にもあった落とし穴