入選句へのコメントです。
嫌なこと言われて体中濁る
実感としてよくわかる。よくぞその感覚を言葉に表現された。
しっかりと記憶が濁る金バッジ
大事なところで、なぜか「しっかりと」記憶が濁るのです。エリートの脳は、実に精巧にできている。
人間をよく見た後の目の濁り
世の中のいやなことを見過ぎてしまった。自分の目まで少し濁ってしまった。
戦いが空を濁った色にする
戦地にも抜けるような青空があるはずだ。しかし、見上げる人の目には、そのままの青には見えないのだろう。
清流をしばらく濁らせる豪雨
恐ろしい濁流も、やがては澄んだもとの水に戻る。自然の脅威には逆らえない。
秀3 真実を濁らせまいと敗戦日
終戦ではなく敗戦。玉砕ではなく全滅。先の大戦では、失われずにすんだはずの多くの命が失われた。戦争を美化してはならない。
秀2 故郷に父母のやさしいだぢづでど
故郷にいる父母の田舎訛りは、変わらずに温かい。
秀1 九条を濁らせている武器輸出
平和国家日本が、ついに殺傷能力のある武器輸出を解禁した。武器輸出三原則を防衛装備移転三原則と言い換えた末の結末。憲法の平和主義がどんどん濁ってゆく。