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目次5月号 ・巻頭言 「 ツツジとサツキ」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・リレー鑑賞 ・ひとくぎり ・例会 ・没句転生 ・インターネット句会 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号印象吟散歩 ・誌上互選 ・追悼 遼さん・徳三さん ・ポストイン ・お便り拝受 ・編集後記
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たかこ 整理 柳歩 堤 伴久・柳歩 木本朱夏 たかこ 柳歩 清水信 橋倉久美子 柳歩 |
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巻頭言 |
ツツジとサツキ
鈴鹿市は植木の生産地として有名らしい。特にツツジとサツキの生産は本市を含む三重県が全国一と聞く。 私は、このツツジとサツキの見分け方が苦手である。サツキはツツジ科で別名サツキツツジと呼ばれるらしいから、見分けがつかなくても許されるかもしれない。我が家の前の歩道と車道を隔てる垣根の花木も、長い間どっちか不明だったが、低木で初夏に咲き出すからサツキであることがやっと判明した。
このサツキは鈴鹿市の花に認定されている。 さてツツジの方は、本市が全国一の生産量を誇っている。八百種類もあると言われ、平戸ツツジ、久留米ツツジ、クレイユキなどがある。 桜が散ると「ムラサキツツジ」が境内を染め替える、稲生神社(伊奈富神社)は県下でも屈指の神社である。このムラサキツツジも、県指定名勝となっている。すぐ近くに住みながら、このムラサキツツジが咲く頃には、数えるほどしか行ったことが無い。四月中旬から稲生山にムラサキのトンネルが現出して、大勢の観光者で賑わうというのに。 赤土でやせた土壌が生育に適しているようだ。
三重にはもう一か所、御在所岳のツツジが有名である。ロープウエイから望む、山頂近くの岩壁は、色あざやかなピンクのじゅうたんを敷き詰めたようできれいだ。
「ツツジとサツキ」双子の姉妹のような花の名前、いろいろ調べているうちに、描いてみたくなってきた。二年前、藤の花を表紙絵にしたように、今回は「ツツジ」を描かせて頂く事にしました。 たかこ |
すずか路より | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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リレー鑑賞「すずか路を読む」 |
・雪折れの梅に包帯してやろう 上田 徳三 ・三度目の積雪少し飽きてくる 橋倉久美子 ・美しく熔けそこなった雪だるま 〃 ・幸せな一日だった雪景色 竹内由起子 ・古い家雪が積もればみな同じ 長谷川健一
地球温暖化とはいえ、中部地方にも何度か雪が積もったのですね。私の住む和歌山ではチラチラと舞うことはあっても、積もることはほとんどありません。
・買い物にポリシーがあるおばあちゃん 鍋島 香雪 食品の産地偽装や賞味期限の改竄、異物の混入した飲み物や冷凍食品など、食の安全が脅かされています。 昔は鼻で嗅ぎ、目で見て、触ってみて、五感を駆使しての経験が物を言ったのです。今こそ、ポリシーがある頼もしいおばあちゃんの知恵袋をお借りしましょう。
・病気なんてコップの中の事故である くのめぐみ 長寿高齢化の時代とはいえ、病気と縁のない幸せな人はほとんど居ないでしょう。一病息災という言葉もあります。病気を負と捉えず「コップの中の事故」と言い切れる作者の体験でしょうか。
・一人だけ解ってくれたのが敵 堤 伴久 男子ひとたび家を出ずれば七人の敵あり。家中には八人目の敵が居たりして……。それはさておき。誰も解ってくれない焦り悩みを、解ってくれたのが敵だったというのです。昨日の敵は今日の友、肝胆相照らす生涯の友になることでしょう。
・尖る日は春を探しに出るカメラ 山口 龍一 ・夕焼けと昔話をして帰る 吉崎 柳歩 夕焼けをしみじみ眺めることもなく、足元のスミレに気がつかないまま、何かに追いかけられているうちに美しい春が過ぎてしまいました。反省です。 (川柳塔同人・和歌山市在住) |
4月26日(土)例会より | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別室 |
小野慈美華
自分は小野慈美華氏に、面識はない。 昭和3年、刈谷市生まれ。新潟医科大学卒。大学在学中に川柳に惹かれ、卒業後、関西古川柳研究会に所属、実作と研究を重ね、現在までに次のような著作がある。 『誹風妻楊枝私注』 『川柳河豚考付薬喰考』 『川柳江戸の民間療法』 『江戸の町医者』 『江戸川柳尾張三河名所歩き』 現在は医療法人小野耳鼻咽喉科理事長の要職にあり、尚川柳への探求の情熱を持ち続けている姿勢は感心。 桐生久主宰の同人雑誌『矢作川』(西尾市)4号に「江戸の花見」を寄稿されていて、それを観る。
花の宵今道心の沢山を そりゃ出たよ行かぬ事だと花の宵
江戸川柳である。今道心とは、仏門に入ったばかりの人のこと、ここでは「てるてる坊主」を指し、花見を予定した前日の行事が、晴れを祈る子らの様子。 「そりゃ出たよ」は、げじげじ虫が出た意、この虫が出ると翌日は雨という俗信があり、共に桜見物の前夜のハラハラぶりを描いたもの。
白壁を両の手が塗る花の朝 花の朝女房なかなか良い女
花見に行く朝の、家庭の主婦の化粧ぶりを描いたもの。
ふだん着をほうりちらかす花の朝 花の朝傘で半時程もめる
花見に出かける前のトラブル。傘を持っていくかどうかでもめる状態。今時はこんなことはないだろうが、桜の見頃は毎年のことだが、ごく短い。 本誌掲載は花見の頃を遥か過ぎての事になるだろうから、気の抜けた話題になるけれども「江戸の花見」に教えられる故事のいろいろは面白い。
なんだ石碑かと一つも読めぬなり
そう言えば、梅や桜の名所には、読みにくい字の歌碑、句碑が必らず建っているな。あれは無風流。
定紋であたりを囲ういい花見
会社や職場で陣取りを競ってシートを敷いて、身内だけで騒いでいる。これも無風流だが、仕方ないか。小野氏も80歳か、ご健康を祈りたい。 (文芸評論家)清水信 |
誌上互選より 高点句 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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