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目次12月号 ・巻頭言 「 名前 」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・リレー鑑賞 ・ひとくぎり ・例会 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号印象吟散歩 ・誌上互選 ・没句転生 ・ポストイン ・お便り拝受 ・各地の大会案内他 ・編集後記
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たかこ 整理 柳歩 柳歩 大野たけお たかこ 清水信 橋倉久美子 柳歩 柳歩 |
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巻頭言 |
名 前
森鴎外は五人の子どもにとてもユニークな名前をつけた。若い頃ドイツに留学もしていた医者でもある鴎外らしい命名だとされて有名である。
川柳の雅名にも覚えやすい独特な名前がある。「なんの菅野」さんとか「かわたやつで」さんがそうである。本名のままの人が圧倒的に多いのだが、私のように姓はそのままで名前だけ仮名にする人も多い。
名前でだいたい年代がわかるし、周期的に繰り返されるものである。今九十歳前後の女性には「○○子」はあまりいないし、平成以後生まれる赤ちゃんにも「○○子」ちゃんは少ない。近頃の新生児の名前は男女とも複雑な漢字を使ったものが多くて、その読み方はとても洋風である。ちょうど鴎外の子どものように。 今年もあとわずか、どうぞよいお年をお迎えください。 たかこ |
すずか路より | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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リレー鑑賞「すずか路を読む」 |
154号から 大野たけお 喋りすぎて結びの言葉考える 坂倉 広美 「この句どうですか、たけおさん」と名指しされ「あのう…これはですね、つまり」などと。自信がないから思いつくままあれもこれも喋る。喋りながらどう結ぶかをあせっている、そして余計なことまで口走る私。 もしかしてあの句わたしのことかしら 鍋島 香雪 見たり聞いたりした瞬間、いろいろそんな人間と共感する句があるよね。そして夜ベッドで、そういえば先日句主とこんなやりとりがあったな。ひょっとするといや絶対私へのあてつけの句だ。ああ今夜も不眠症。 夕陽が好き八頭身にしてくれる 井垣 和子 時々八頭身美人の影が私の足元近くまで伸びてきて、掴めそうだ。夕陽大好きです。 ふるさとの空気はサプリメントだね 青砥 英規 四十数年振りに立った故郷の校庭。山も石垣も空気も昔と同じだ。英規さんはいいな、いつもサプリメントの空気が吸えて。きっと空気入りカプセルがいっぱいふるさとから届くのでしょうね。 安いからバナナばかりを買って来る 木村 彦二 我が家もバナナ党。二人の子供が小さい時から、果物の好き嫌いが激しく揃って食べるのはバナナだけ。それが今もと思っていたが。そうか安いからだったんだ。川柳って勉強になります。 花も実も手入れ次第で付くだろう 上田 良夫 一坪の菜園でピーマンだけはほったらかしでも毎年豊作だった。今年も片隅で青々と成長、ところが大異変。花も実もなく収穫ゼロ。手入れいや心入れのないピーマンの怒りに触れてしまいました。 彼岸花なんやかんやをつい思う 寺前みつる 昭和二十年秋。住む家を失った一家は汽車を乗り継ぎ、田舎道を歩き親戚の寺を目指した。五歳のたけおにも沿道の赤い花は眼に痛いものでした。 輪唱をしたこともある姉弟 吉崎 柳歩 夏に姉から抗癌剤の副作用で随分弱っているとの知らせ。小さい頃から不出来の弟をいつも庇ってくれた姉。そうだ今晩電話しよう、長崎にだって行かねば。この句に感謝。 (せんりゅうくらぶ翔・亀山市在住) |
11月25日(土)例会より | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別室 |
ぼけせん 『月刊現代』には「山藤章二のぼけせん町内会」という二ページ大の投稿欄がある。11月号では、連載135回に達しているので、11年余り続いていることになる。投稿された川柳を、似顔絵画家でありエッセイストでもある山藤章二が選をしているのだ。この号の大きな特集の三本柱は、 (1)安倍政権の批判。
であって、その他にも「ああ、至福の時代小説」という読物があって、この目次だけ見ても、定年後のジジイ向けの雑誌ということが分かる。でも入選句の区分けが面白くて、いつも楽しんで読んでいる。
以上、女性は「夫婦仲」の一人のみ。選句のあとに山藤が短評を書くのだが、総評としては「大きなニュース」は暗くて、重くて、つらくて、到底「笑いには転化できない」から、身近かな話題、つまり「小ネタ」に挑戦するのが良いと書き、「本来の川柳という遊びの小文芸」の主流は「小ネタ」にあるのだと訓している。 川柳みどり会の『緑』増刊号『宇宙時間2005』(通巻523号)を戴いた。こちらは女性陣が優勢である。 皆元気である。朝日中部川柳大会のトーク「川柳半世紀」の記録が、たいへん面白かった。 |
誌上互選より 高点句 | |||||||||||||||||||||
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