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22年12月「不便」
22年11月「探す」
22年10月「うんざり」
22年9月「帽子」
22年8月「切る」
22年7月「苦手」
22年6月「ガラクタ」
22年5月「弱い」
22年4月「桜 」
22年3月「待つ 」

22年2月「丁寧 」
22年1月「限界 」
21年12月「走る 」
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21年10月「薬 」
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20年5月「野放し」
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前月入選句発表 お題「 薄い 」

橋倉久美子 選

  薄氷の上に原発半世紀 卑弥呼      *
  PL法薄情な子を責められず ちゃこ
  生活も透かして見せるゴミ袋 廣田千恵子     *
  この紙のなんて薄いの離縁状 山口
  寝に帰る家族の空気薄い家 かきくけ子
  薄命の筈がよく食べよく眠る 塚越孝一
  美人薄命まだまだ生きていられそう 松本諭二
  お隣の孤独は見えぬ薄い壁 加藤ゆみ子
  江戸っ子も薄めたくなる熱い風呂 鼓吟
  今日もまた訃報 冷茶の薄い味 佐藤千四     * 
  ケータイのメールに薄い薄い恋 かきくけ子
  出来ちゃった別れちゃったという軽さ そぞろ歩き    * 
  薄い耳してピアスなんかをつけちゃって 東川和子
  えびせんの薄さに挑む海老一尾 青砥和子
  朝帰り迎える妻の薄笑い 沢田正司
  影が薄くなったな妻もシカトする 片山かずお
  薄情な子に薄情で返せない 吉田梨花
  内容の薄い割りには大見出し 通せん坊
  正直な人だ薄謝が入ってる 風間
  河豚刺しの下で牡丹の花盛り 中川喜代子    * 
  デジタルの薄さになってくる情緒 吉崎柳歩     *   
  ご無沙汰が積もると薄くなるご縁 小太郎 
  節電に赤ちょうちんも薄明かり 伊田網人     * 
  薄味が男の角を丸くする 高柳閑雲
  これ以上薄くなったら破裂する 東川和子
  父母が逝き里の空気が薄くなる よしひさ      *
  ほぼ水の薄い酒でも酔える夜 鼓吟
  一葉で足る自分史をふくらます 吉崎柳歩
  品薄のニュースで品薄に拍車 北田のりこ     * 
  耳たぶのせいではないよ不幸癖 寺川弘一
  先方は薄紫のお召し物 高田桂子
  真実を言うと薄情だと言われ 小谷小雪
秀3 自分史は幾度書いても薄っぺら 沢田正司
秀2 待ちぼうけアイスコーヒー薄くなる ミント
秀1 薄明かりだからほんとのことを言う 阪本こみち    * 
   薄明かりには、妙に人の背中を押してくる力がある。思わず本当のことを漏らしてしまった、たそがれ時のひとこま。  
  感想文とにかく薄い本を選る 橋倉久美子 

新家完司 選

  居てたのか居なかったのかわからへん 早人
  薄ぺらな壁一枚のプライバシー 璃恩
  薄化粧していそいそとデイケアー まりえ
  うすべにを引いて薄めの嘘をつく 飯島章友
  父母が逝き里の空気が薄くなる よしひさ      *
  薄味に慣れて長生きするつもり 彦翁 
  ホームから届いた母の薄い文字 阪本こみち
  薄っぺらい知識翳して原発に 佐藤彰宏    
  節電に赤ちょうちんも薄明かり 伊田網人     * 
  薄明かりだからほんとのことを言う 阪本こみち    * 
  ない胸をさらに熨すマンモグラフィー 由美
  薄味にして動脈の機嫌とる アズスン安須
  助かってます薄切りのハム二枚 高杉千歩
  薄口しょうゆ男にしてはもの足らぬ 石橋芳山
  河豚刺しの下で牡丹の花盛り 中川喜代子    * 
  入籍も別れも軽い紙一枚 柳谷益弘
  飛び込んでおいでよ薄い胸だけど 上嶋幸雀
  今日もまた訃報 冷茶の薄い味 佐藤千四     * 
  薄暗い人生だけど生きていく いいだやひやく
  エアコンの風が薄める蝉の声 蟻星 
  出来ちゃった別れちゃったという軽さ そぞろ歩き    * 
  品薄のニュースで品薄に拍車 北田のりこ    * 
  ソース顔だけど存在感薄い 鼓吟
  打ち水に鷺草薄くひらく胸 岩根彰子
  濃く薄くおんな心と紅の色 備瀬ちゃくし
  目立たない追伸なにか叫んでる そぞろ歩き
  生活も透かして見せるゴミ袋 廣田千恵子    *
  桃を噛むうすい桃色噛んでいる 石田穂實     
  薄氷の上に原発半世紀 卑弥呼      *
  薄まればいいわけでない放射能 由美
  みちのくの便り読む日の薄明かり 板垣孝志    
秀3 味噌汁の薄さくらいの近所仲 今々爺
秀2 言霊の国のペラペラした言葉 上嶋幸雀
秀1 デジタルの薄さになってくる情緒 吉崎柳歩     *   
 評   大容量の情報を送ることができるというデジタル。情報が多いということは、内容が薄くなるということではないか。  
軸  薄れゆくパッション酒で補充する 新家完司