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23年3月「祈る」
23年2月「敵」
23年1月「どきどき」

22年12月「不便」
22年11月「探す」
22年10月「うんざり」
22年9月「帽子」
22年8月「切る」
22年7月「苦手」
22年6月「ガラクタ」
22年5月「弱い」
22年4月「桜 」
22年3月「待つ 」

22年2月「丁寧 」
22年1月「限界 」
21年12月「走る 」
21年11月「本気 」
21年10月「薬 」
21年9月「汗 」
21年8月「目 」
21年7月「避ける」
21年6月「軽い」

21年5月「手紙」
21年4月「華やか」
21年3月「きっちり」
21年2月「 ゆとり」
21年1月「 試す」
20年 12月「切替え」
20年 11月「力」
20年 10月「辞書」
20年 9月「客」
20年8月「住む」
20年7月「食べる」
20年6月「休む」
20年5月「野放し」
20年4月「取る」 
20年3月「けち」
20年2月「けなす」
20年1月「鏡」
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前月入選句発表 お題「 欲 」

橋倉久美子 選

  生きる欲だけは津波に飲ますまい 高山帰櫻
  できるならもっと赤くと曼珠沙華  桐壺       *
  欲が無い決めつけられる課長補佐 香山嵐
  抽斗の奥で冷えてる青い欲 飯島章友
  等分に分けて並べて見比べる   寺川弘一
  わたくしの夢を叶えるカツカレー 濱山哲也    *
  使うあて特になくとも宝くじ 佐藤千四    *    
  無欲だと仰有る人もジャンボ買う 通せん坊
  欲張りか詰め放題が得意技 加藤峰子
  詰め放題おしとやかではいられない 青砥たかこ
  千六本欲の太さを切っている かおる  
  食欲と一緒に戻る減らず口 通せん坊    * 
  この指にとまった人は離さない 桐壺
  無欲という言葉の中に欲がある 今々爺
  枯れたけどまだ無欲にはなりきれぬ よしひさ
  無い筈の欲に心が縛られる のひろ
  無欲にはなれぬと思い知る座禅 上嶋幸雀
  欲少しあってにんげん止められぬ よしひさ
  欲張りな人で年中忙しい 北田のりこ   *
  欲の皮突っ張り過ぎてよく転ぶ 早人    
  欲望がなくなり枯れてしまった木 北田のりこ   *
  子の夢に混ぜると危険親の欲 アズスン安須    *  
  まだ生きる欲が急かせる万歩計 沢田正司    *
  手に持って口にくわえてまだ欲しい 板垣孝志        * 
  欲張りな人だ外にも妻がいる 松谷大気
  ティッシュ配る人に両手を出してみる 松谷大気  
  もうひとつ何か欲しいと形見分け 佐藤千四
秀3 増えすぎたサプリメントが食べきれぬ 廣田千恵子
秀2 身勝手な欲を希望と言い換える   伴久    
秀1 限定というから一つ欲しくなる そぞろ歩き   * 
 評   「限定」と聞いたとたん、手に入れないと損をしたような気になる不可思議な心理を、すっきりとまとめてある。  
軸  欲に目がくらみはしごをよじ登る 橋倉久美子 

新家完司 選

  欲しいもの手に入れたくて頑張れる 素人
  欲張りな向上心が実を結ぶ 紅玉
  和洋中とれるだけ取るバイキング 丸山 進
  来年の桜を見るまでは死ねぬ 加藤ゆみ子
  子の夢に混ぜると危険親の欲 アズスン安須    *  
  つつがなく暮らせてるのに上を見る 片山かずお
  欲の皮伸縮自在無限大 青砥たかこ   
  欲しいのは優しい妻とサムマネー アズスン安須
  限定というから一つ欲しくなる そぞろ歩き   * 
  持て余すああ終章の名誉欲 伊田網人
  愛欲も失せて食欲だけになる 吉崎柳歩         
  食欲と一緒に戻る減らず口 通せん坊    * 
  欲張りなところ我が子は瓜二つ 松本諭二
  使うあて特になくとも宝くじ 佐藤千四    *    
  百億の欲で潰れるこの惑星 よったん
  死ぬまでにしたい食べたいことだらけ 寺川弘一
  思いやりない欲望が買い占める 長峯雄平
  ○□△欲しいものばかり 石橋芳山
  ここからは欲かな夢の枝を伐る 高山帰櫻
  すごろくで上がった人の言う無欲 そぞろ歩き
  食欲が頂点にいるヒエラルキー 鼓吟
  できるならもっと赤くと曼珠沙華  桐壺       *
  裸から欲という服身に纏い たんぽぽ
  惨状をそろばんに乗せ円と株 板垣孝志
  生々しくも愛欲という字面 柳谷益弘  
  まだ生きる欲が急かせる万歩計 沢田正司    *
  美しい欲張りテリーヌのアート 彰子
  もっともっと鮟鱇の口と俺の口 石橋芳山
  わたくしの夢を叶えるカツカレー 濱山哲也    *
  欲張りな人で年中忙しい 北田のりこ    *
  品性がないから金を貯めている まりえ
  詰め放題みかんが悲鳴あげている 由美    
秀3 手に持って口にくわえてまだ欲しい 板垣孝志         * 
秀2 もう少し若くきれいに見られたい  東川和子
秀1 欲望がなくなり枯れてしまった木 北田のりこ    *
 評    欲望イコール生命力。欲がなくなった木は枯れるしかない。もちろん我々にんげんも同じ。  
軸  名誉欲失せて元気も失せてきた 新家完司