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目次2月号 ・巻頭言 「 手紙」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・リレー鑑賞 ・ひとくぎり ・例会 ・例会風景 ・没句転生 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号印象吟散歩 ・誌上互選 ・インターネット句会 ・ポストイン ・お便り拝受 ・各地の大会案内 ・編集後記
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たかこ 整理 柳歩 前田賀信・吉崎柳歩 寺部水川 たかこ 柳歩 清水信 橋倉久美子 柳歩 |
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巻頭言 |
頂いた手紙は捨てられない。もし、ひとところに集めたら、おそらく相当な数だろう、手紙の束がある。
中学になって、雑誌に「ペンフレンド募集」に名前を載せた。毎日数名、合計にすると五十人ほどの応募が来た。現在住んでいる近くの住所の男の子からもあり、二、三年続いたように記憶している。 結婚して、第一子を流産して改めてペンパル募集をしたところ100名を越す流産経験者から手紙が殺到した。この話は第一回市民大会の挨拶で述べた。なぜ私が川柳の道に嵌まったかは、この書くことが好きな性格であったから、と。
川柳を始めてから、文通はほとんどやめた。何名かは年賀状で続いている程度だ。 たかこ |
すずか路より | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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リレー鑑賞「すずか路を読む」 |
・金持ちになれると書いた本を買う 山本 宏
・むつかしい予防注射のタイミング 鶴田美恵子
・五十年添うても綺麗マイワイフ 寺前みつる
・見る位置のしるしが欲しい美術館 山本 喜禄
・好き嫌いとんとないです貰う物 松岡ふみお ・ 心配をかけないようについた嘘 鈴木 裕子
・平和です散歩の犬が防寒着 浅井美津子 ・正眼に構え過ぎだが直せない 加藤 吉一 |
1月24日(土)例会より | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別室 |
田辺聖子と共に(3) 清水 信 田辺聖子の『古川柳おちぼひろい』には、かなりあやしげな作品が拾われている。
・忍ぶ夜の蚊はたたかれてそつと死に 「忍ぶ夜」はもちろん忍び合う男女のことで、人に知られるので、ピチャンと蚊はたたけぬわけだ。そっとたたいて、そっと死んだのである。 2作目、そろそろ西(西方浄土、死ぬ準備)を考えてもよさそうな年の男がまだ北(吉原)へ行きたがるという意。 ・惚れたとは女のやぶれかぶれなり 女が積極的に惚れたというのは(恋したと言うのは)寧ろやぶれかぶれの態度である。ハイミスのあせりが多いことなのであろう。 ・するたびに小便に出る姑ばば 「する」とは若夫婦の性生活である。その時に同居の姑がいやがらせのように戸をぎしぎし開いて小便に行くという景。当時は厠が戸外にあって、この句の効果はあるのだが、当今は、そんな事はあるまい。とはいえ、 ・そこかいてとはいやらしい夫婦仲 とあるように、べたついた夫婦仲を見せつけられるのも、姑にとっては、面白くないのであろう。「女房を大切にする見ぐるしさ」との作もある。二世代同居は今も難しい。そういう家庭内事情に比べれば、久米仙人的な男どもの哀れな関心は罪がない。男は下半身に弱い。 ・毛が少し見えたで雲をふみはずし 古川柳研究には、山路閑古の『古川柳』(岩波新書)や、下山弘の『江戸古川柳の世界』(講談社現代新書)などがあって、自分は、後者表紙の惹句にある「知的詩情を味わう」という姿勢で、大いに参考にさせて貰っているが、決定的な論理判断は出来ない。 ・いたばしで鰹のさしみおそろしき 海に遠い(東京の)板橋で、魚の刺身を食わせるのは、怖ろしいことだという意だが、現今でも、山の宿でも秘湯の旅館でも、どこでも日本風料理では、刺身が出る。それを不思議にも思わない人々への風刺でもあろう。「湯屋へ来て見ればしつかり江戸の色」という作もあって、古川柳は諸方に残っている江戸を探す文芸らしい。 (文芸評論家)清水信 |
誌上互選より 高点句 | |||||||||||||||||||||||||||
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