西山竹里選（入選３９句）
　

鰻屋の匂いで進む腹時計	芦田敬子
別腹に見事に消えたケーキ２個	あけみちゃん
＊別腹を連れて二次会三次会	よしひさ
別腹を持って出かけるバイキング	稲垣義舟
＊これ以上頑張れませんベルト穴	信天翁
チャイムまで待てずに鳴らす腹時計	宮尾柳泉
お腹空きすぎても痛くなるお腹	由美
＊センサーで知らせてほしい腹八分	ねこママ
＊針千本たやすく消化できる腹	圦山　繁
思い切り泣いた小腹が空いてきた	こやまひろこ
寝てばかりいてもお腹がへる若さ	冬子
＊何もせずそれでも腹が減ってくる	徳重美恵子
眼鏡下げ腹の底まで見据える眼	佐藤ちなみ
盃でお互い腹の探り合い	宮本信吉
料亭で腹を割ったり探ったり	甲斐良一
腹黒さ調べられぬか内視鏡	青砥たかこ
恋敵腹を割っては話せない	茶飯士
＊腹割って話せばふたりとも黒い	糀谷和郎
腹割って話そうという落とし穴	冬子
腹割って話せた友が減ってゆく	西井　茜雲
キューピーの腹の中にもある野心	芦田敬子
試着室腹へこませて鏡見る	北田のりこ
測定を終えて緊張ゆるむ腹	木村行吉
腹の虫何をたべても収まらぬ	真田　義子
惚けてなどいられぬ腹の立つ政治	竹中正幸
民飢えてトップ見事な太鼓腹	圦山　繁
＊腹は決めたが勿体付けておく返事	森清泰範
腹いせの酒は酔わせてくれぬまま	澁谷さくら
腹巻は母の言い付けもう卒寿	松長一歩
結局のところ女房の腹ひとつ	八木五十八
喉越しも腹持ちもいい褒め言葉	植野悦子
腹ばいのおなかで春の温み知る	笹田　しま
＊強くなれそう金太郎の腹巻	原徳利
＊腹巻の中のお金は暖かい	原徳利
＊満腹の獣むやみに狩りはせぬ	澁谷さくら
＊腹這いになつて気付いた綿ぼこり	糀谷和郎
秀3  唇も少しは動く腹話術	甲斐良一
秀2＊握手から始まる腹の探り合い	老人生
秀1  腹這いにならぬと防げない寝技	加藤吉一

評　       柔道の寝技の攻防。強引にひっくり返そうとする相手に対して、脇を締め、腕を胸元に
         縮めて必死に腹這いの姿勢をキープする。審判の「待て」の声までの辛抱。
軸      注意して探らなければならぬ腹                   西山竹里