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前月入選句発表 お題「名人応募 318句 161人





































 


米山明日歌 選(入選39
句)          
印は両方の選者から入選した句  
 
    名人を名人たちが迎え撃つ 高柳閑雲
    名人を真似てみることから学ぶ ミント
    名人も孫の将棋に勝たぬ技 前川真
    風呂場なら名人になるのど自慢 久保卓子
    名人なんか何人もいるオラが村 佐藤 千四
    名人と言われる妻の塩加減 安井紀代子
    AIが名人の技盗み取る 松長一歩
  *名人と同じ道具を持っている 甲斐 良一
    手拭と扇子で聞かす名人芸 佐藤ちなみ
    目で味を知ってようやく母の域 笹田 しま
    名工の壺が事件のカギ握る けんじ
  *宮内庁からお召しのかかる執刀医  加藤吉一
    蝉取りの名人だった遠い夏 光畑 勝弘
    代返の名人いまや准教授 星野睦悟朗
  *羽織脱ぐのも名人の春団治 岸井ふさゑ
    名人の名人らしい爪の色 橋倉久美子
    号を入れると名人作に見えてくる 堀 敏雄
    一本の鍼で入道眠らせる 福村まこと
    まかせなさい九等分も切り分ける 東川和子
    くちびるを奪う名人ですあなた 柴田比呂志
  *名人の域に達している手抜き 恭子
    客席の聴き名人は端の席 彩古
    主婦だって名人みかん詰め放題 いわさき楊子
    名人のミクロン競うかんなくず 澤磨育
    やりくりの名人母たちの戦後 安藤なみ
    母ちゃんは俺の嘘などすぐ見抜く 葱坊主
  *名人の一刀彫がよく喋る よしひさ
     名人の称号はヒト科限定 笹田 しま
    手で撫でてミリを修正する匠 木村行吉
   *居眠りの名人目を開けて眠る 橋倉久美子
    名人の皿にのりたいお漬け物 ようこ
    生き方の名人たれと春の雪 平井美智子
    名人になると言葉が光りだす すずき 善作
     食べさせる名人が注ぐわんこそば 福村まこと
    *おばちゃんの名人がいる町工場 人見五郎
     名人のストーリーには母がいる 彩古
秀3  接待のうまさで伸ばす棒グラフ 星野睦悟朗
秀2  撥さばき津軽の冬を連れてくる うちだあつこ
秀1  名人になってサインが出世する 芦田敬子

評  いままで、どおってことのなかったサイン。何かのオマケみたいにもらったサイン。
名人になったと聞いて、慌てて探し出す。家には、名人になる日を待っている、壷があります。

   母の手で大根料理七変化                              米山明日歌
 

 









































 


吉崎柳歩 選(入選3
9句)

 

    名人といわれ変人ともいわれ 晴子
    ばあちゃんの御手玉誰も敵わない 佐藤 千四
    名人と呼ばれ孤独な道を行く よしひさ
    もの忘れ名人今日も探し物 瀬田明子
    Al が名人の手を読み尽くす 阿部清明
    名人の一歩手前のまま米寿 アゲハ
    僥倖と言われ名人たちが負け 深谷江利子
    名人の作った螺子が月へいく 米山明日歌
    値を聞いて見直す名人の茶碗 北田のりこ
    名人と呼ばれてAIに負ける やんちゃん
    こだわりの釣り名人の座り方 田村ひろ子
    名人が捕ると易しく見えるゴロ 西山竹里
    ぬるま湯に浸かり名人溺れかけ 岡野 満 
    名人が名人芸で盛り上げる 小出順子
   *羽織脱ぐのも名人の春団治 岸井ふさゑ
   *宮内庁からお召しのかかる執刀医  加藤吉一
    名人であるがインスタ映えしない 柴田比呂志
    父さんが名人だとは子は知らず 光畑 勝弘
    名人がソフトクリーム舐めている 東川和子
    忖度をされて名人気づかない やんちゃん
    名人と持ち上げられてペンキ塗る 荘子隆
   *居眠りの名人目を開けて眠る 橋倉久美子
    名人の悪癖妻は知っている 森下博史
    新人が奪ってもいい名人位 加藤吉一
    贋作が出て名人に箔が付き ようこ
   *おばちゃんの名人がいる町工場 人見五郎
    名人になったつもりでこなす家事 まみどり
    名人の前でこぼれる付け焼刃 竹中 えぼし
    名人は孤独出前の昼ごはん 渋谷重利
   *名人の一刀彫がよく喋る よしひさ
    名人の失敗作に付く高値 甲斐 良一
    名人と呼ばれ進んでいく頑固 フーマー
    考えるフリは名人級である 新家完司
    名人は普通の顔で仕事する 武良 銀茶
    名人もきちんと買っている切符 BBブンゴ
    片付けの名人迷いなく捨てる 恭子
秀3*名人の域に達している手抜き 恭子
秀2*名人と同じ道具を持っている 甲斐 良一
秀1  タコ突きの名人タコを捕り尽くす 新家完司

評   別にタコでなくても良いのだが、名人たるもののありようを遺憾なく表現し
  ている。名人に掛かると、誰かが止めないかぎり、捕り尽くしてしまうのが怖い。

  名人と呼ばれるほどの隠し芸                            吉崎柳歩