目次25年1月号
巻頭言 「 年賀状とキャッチコピー」
すずか路
・小休止
・柳論自論
川柳・人と句「 矢須岡 信さん」
・例会
・例会風景
・没句転生
・インターネット句会
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・ポストイン
・あしあと・その他
・大会案内
・年賀広告
・編集後記

 


たかこ
柳歩整理

柳歩
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柳歩

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巻頭言

年賀状とキャッチコピー

皆様、明けましておめでとうございます。「人の心が年の初めに届く国」
 平成二十五年の幕開けです。元旦を炬燵の中で、届いたばかりの賀状を見ながら過ごされた方も多いと思います。
 上記の言葉…郵便局が年賀状を売らんがためのコマーシャル用のキャッチコピー、一度は耳にされたことでしょう。

昨年度は、「年賀状は贈り物だと思う」
でしたね。短い言葉の中に想いを込める、これは川柳に通じると思います。特に今年のキャッチコピーは「七・七・五」とほぼ定型になっていて、内容も少なからず川柳味があるような気がします。

 今年はもう一つ、やはりコマーシャル用のコピーがあるようです。
「出す年賀状の数は、僕を支える人の数です」ご存知でしたか? 本当に出したい人にだけ出すのが、真の贈り物であり、相手にも心が届くのでしょうね。年に一度のお義理のお付き合いもどうかと思いながら、中々切ることが出来ないのも現状でしょう。

コマーシャルにつきもののキャッチコピーは、年賀状以外にも印象深いものがたくさんあります。

「そうだ京都に行こう」これはたしかJR西日本…、これを聞いて、即京都に出掛けた人も多いことでしょう。どこかの家電や物置もあります。

「きれいなおねえさんは好きですか?」
「百人乗っても大丈夫」

ちなみに以前ファンだった作家林真理子は、キャッチコピーで大ブレイクしました。

 多くの人の心にいつまでも残り、人口に膾炙され続けてゆくそんなキャッチコピーのように、川柳もそうありたいと改めて思います。

                                        たかこ            

 

すずか路より
捺印の要る相談があるのです 尾アなお
ケーキ屋を行ったり来たりダイエット 岡ア美代子
読みかけの本が散らばる年の暮れ 神野優子
名優の訃報が続き世が移る 山添幸子
考えごとあって今夜は早くねる 水谷一舟
ふっくらの布団が子ども達を待つ 小川のんの
メモをして来たが見なくて大丈夫 石谷ゆめこ
女子会は年代問わずとげがある 岩谷佳菜子
包丁を研ぎ終えてから月を見る 加藤けいこ
師走でも行かねばならぬ葬儀場 西垣こゆき
お悔やみは何時もはっきり物言わず 松岡ふみお
山の上の岩はシルバーシートだな 坂倉広美
近道か遠回りだかわからない 橋倉久美子
出汁取った後のコンブを捨てられず 北田のりこ
円満のため初耳のふりをする 落合文彦
達筆の人にかまえる年賀状 鈴木裕子
懲りもせず誘惑に乗る宝くじ 加藤吉一
爪だけは何も知らずに伸びてくる 長谷川健一
靖国で波風が立つ余所の国 水野 二
散歩して頭の中を整える 竹口みか子
リハビリのお陰あしたへ希望湧く 瓜生晴男
チラシ見て夜の献立早変わり 安田聡子
蒔いた種まだかまだかと待ち焦がれ 芦田敬子
寄り添ってご機嫌取りの取りうまい犬 鍋島香雪
ハンガーで疲れの癒えた服を着る 小出順子
ネクタイがもういいかいと聞いてくる 鈴木章照
特売の皿に盛られる中高年 青砥和子
どこからも何も届かぬ年の暮れ 山本 宏
たまに食うホカ弁なかなかに旨い 高柳閑雲
成人になってもしてもらう着付け 川喜多正道
若返るサプリメントはクラス会 加藤峰子
御朱印が雑な寺とは距離をおく 青砥英規
モクレンの蕾と冬を乗りきろう 吉崎柳歩
くすぶっているから刺激しないでね 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句11 「矢須岡 信さん」                                                                                   たかこ


莫迦な自分にずいぶんと教えられ
こたえたなあライバルがハンサムで
棺に寝てからみんな気付くのだと思う
とうさんは粉石鹸を入れ過ぎる
受け売りやから質問はせぬように

ムンクの絵に負けぬ叫びを抱いている
生まれつきのものがだんだん枷になる
「お金では失礼になる」ことはない
うしろに目が付いてないのは救いだな

十二月これでやめたろかと思う
わかりかけた頃人間おしまいに
援軍は来ないと妻は知っている
妻を裏切る心も実は持ってます

娘を託すその肩幅を信じよう
初孫のふぐり未来が入れてある
どこまで励ますか洗面器の亀を
つりは要りませんおかしな人もいる

トンネルは抜ける走ってさえいれば
花の涙に誰も気付いたものはない
愛をこめて貼った切手と気付いてか
不倫とは言わずほんとの恋と言う
反戦デモ行ける自由を大切に
 

12月22日(土)例会より
宿題 「 絵 」 青砥たかこ 選と評
  額縁をはずすと値打ち下がった絵 北田のりこ
  自画像のちょっと省いたシミとシワ 鈴木裕子
 秀 しあわせな絵が描いてあるカレンダー 吉崎柳歩
果てしなきキャンパス夢はでかく描く 青砥たかこ
宿題 共選「決める」 橋倉久美子 選
  口癖が決めてとなって逮捕され 芦田敬子
  ジャンケンで決める冬場の風呂の順 青砥たかこ
 秀 千円までの物は僕でも決められる 山本 宏
決めてきたはずがメニューを見てゆらぐ 橋倉久美子
宿題 共選「決める」 岩田明子 選
  振り向かれ決めた心が揺れ動く 芦田敬子
  献立は賞味期限に決められる 加藤峰子
 秀 忘れると決めて忘れたことにする 橋倉久美子
他所はよそ我が家のお年玉の額 岩田明子
席題 「 肩 」 清記互選
12点 退職をしても肩書つけたがる 川喜多正道
11点  居眠りに無断で肩を借りられる 橋倉久美子
 8点 誰とでも肩を組みます平和主義 水谷一舟
 7点  撫で肩の男に油断してしまう 吉崎柳歩
 6点 肩の荷を降ろせる春はまだ遠い 小出順子
  母よりも息子が嫁の肩をもつ 岩谷佳菜子
特別室

『川柳三重のこと』旧刊新解A                                清水 信                                   

  書庫の整理中である。『川柳三重』が何十冊と出てきたが、丁寧に読み返す暇はないので、見たとこだけの感想を書く。
 例えば『川柳三重』の昭和46年の12月号は通巻179号である。長い歴史で、紆余曲折はあったのだろうが、この号の発行所は津市柳山津興の山岸志ん児宅になっているが、事務局は津市西丸之内の喜田子楽宅になっている。
 第9回三重川柳大会の特集号であるが、大会は1031日(日)津新町の洞津会館が会場である。

 出席者は90名、投句32名、懇親会出席は29名だった由。出席は神戸、西宮、奈良、彦根、京都の他、愛知、名古屋からも多く、長谷川鮮山の柳話、藤原英比古の柳画の話の後、選に入り、知事賞、大宮司賞、県議長賞等の授賞に至った模様。その三賞は以下、県人が獲得している。

    中北正吉
主題歌の消えたドラマを織る夫婦
           喜多槙の門
出稼ぎで荒るるまま柿熟るるまま
           橋本征一路
子に靴を買う大き目の靴を買う

 驚くべきは、自分が「川柳連盟」と題して、エッセイを連載していることだ。同人誌や結社誌に長年臆面もなく雑文を書き続けているので、山岸に頼まれて書いた、このエッセイも、一体どれほど続いたのか、確かめようもない。
 大会の選は中村土龍、福田昭人、矢須岡信、前川柳洞、谷間流の諸氏が当っていて、中川黎明庵、野村可通をふくめて、知り合いも多い。

 大会の予告号は10月号で、そこでは清水武三が「川柳とセックス」という四ページに及ぶエッセイを書いていて、加賀の千代女の俳句から説き始める。

・渋かろか知らぬぞ柿の初ちぎり
・起きてみつ寝てみつ蚊帳の広さかな

 これらの作を一種の好色句と見ているのが面白い。山岸は『せんだん』に12回にわたって「古川柳研究」というコラムを連載、それに触れている由で、筆者はセックス句の激減を憂いているのだ。しかし、現代川柳からではなく、『末摘花』からの引用でお茶をにごしている。

漸く文末に大正時代の関連句があるが、平成柳人はどう思うかしら。

・女子寮にマリアがいたで大さわぎ
・保温器を覚えて後家の夜が早い
・後家の愚痴前の穴地を淋しがり

作者は宇都宮高女の教師・宮崎歌子という。

                                                                            (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 休む 』  応募80句
 1 6  失業という連休を強いられる 吉崎柳歩
 1 5  休養が一番という処方箋 吉崎柳歩
 12  晩酌を休み心配されている 橋倉久美子
   8    休みたい場所にはいつも椅子がない 芦田敬子
     世も移りママの都合で休むパパ 加藤峰子
      こんな日に休む頼りにならぬ人 橋倉久美子
     リストラをされそうだから休めない 川喜多正道
     休むとは書かずシャッター降りたまま 岩田眞知子
    ひと休みしたら続きがわからない 西垣こゆき
  7     雨の日は休ませてやる万歩計 山崎よしひさ