吉崎柳歩選(入選33句)
毎日が旗日のような定年後 伊田網人
白旗を揚げて離婚の危機回避 きぃろっく
妻の待つ港へ帰る大漁旗 沢田正司
今時のデモに目立たぬ赤い旗 川喜多正道
泥仕合白旗揚げた方の勝ち 伯林
白旗がいつも立ってる下戸の席 加藤吉一
何事もトップでいたい星条旗 松谷大気
罪のない国旗をすぐに燃やす国 佐藤彰宏
* 引き出しに永眠させてある国旗 裕子
* 日の丸につけてあげたいコルセット 岡内知香
あやふやな陣地に立っている国旗 西垣こゆき
* ボロボロになっても旗の使命感 早川トミジ
孫請けの事故には遠い安全旗 加藤吉一
日の丸をつけて紅鮭回帰する 豊後分子
勝ち組のためだけにある優勝旗 まりえ
* 名所よりガイドの旗を見て歩く 児玉純子
観光地の旗と小さな旅をする 柴田比呂志
甘い香りしてくるガイドさんの旗 伯林
やっかいな仕事を旗に押し付ける 尾崎なお
根性と書かれた旗がひるがえる ツチノコ
* 先頭の旗をしっかり確かめる みぢんこ
日の丸のドレスで魂を包む 泉水冴子
沿道の旗からもらうエネルギー 大釜洋志
* 肩肘も張らねば旗になどなれぬ たむらあきこ
* バーゲンと書いてる旗が味方です 濱山哲也
末席に日和見主義の旗がある 大釜洋志
因縁をつけられている旭日旗 石橋芳山
日本の旗は魂抜いてある 辻内次根
旗振られオーバーヒートしたわたし 吉田梨花
要するに笑顔わたしの旗印 まりえ
* 来たという証拠に旗を立てておく 橋倉久美子
* 日の丸を最初に捜す万国旗 廣田千恵子
いい風に出会い仕合せそうな旗 早川トミジ
強すぎても困る、無風はなお困る。ほどよい風が吹いてくれるのが何よりも仕合わせなのだ。「旗」は自分のことなのだろう。
ウイニングランの国旗は平和主義 吉崎柳歩