たむらあきこ選(入選32句)
* 土踏まず空の青さに憧れる みぢんこ
踏み台になって嬉しい親の愛 まりえ
無駄足が今頃やっと生きて来る
大木雅彦
虎の尾が仕掛けられてる無礼講 そぞろ歩き
歳月を踏んでよろける痩せた足 板垣孝志
倦怠期影も踏めない距離にいる 廣田千恵子
あしたのはなし薄氷踏むように 小川佳恵
虎の尾を踏んだつもりはないけれど 青砥和子
踏み場ない書籍の多さ自慢する かきくけ子
私を踏んで同期が出世する 松本諭二
* 美しさ支え過酷なトーシューズ 北田のりこ
踏みしめた大地にのこす詩を編む 木村徑子
踏まれても踏まれても陽へ向かう草 なるほどマン
* 地団太を踏んだグラフをバネにする あかり
急停車ふるえ止まらぬ左足 わこう
DNAかやっぱり父の轍を踏む 上嶋幸雀
ぬかるみを踏み越えてきた足の裏 まりえ
踏み絵だな代理人では不可とある 竹中正幸
ピンヒール凶器のように踏んづける 伊田網人
* ブレーキを踏んでばかりでまだ一人 川喜多正道
庭園に行きたい競馬場の芝 松谷大気
踏み出す準備完了あとはぼく次第
青砥和子
アクセルもブレーキも踏む同じ足 伊田網人
* 母をマジシャンにした足踏みミシン 加藤ゆみ子
軽やかにステップ踏んでいるつもり 小谷小雪
ミシン目に米寿の母の踏む力 城崎れい
* 千鳥足ムダに大地を踏んでいる なるほどマン
* 踏み台の要らぬ子の居る大掃除 閑鳥居
* 脳みそも足踏みをするようである 岡内知香
ハイヒールの踵が襲う通勤車
川喜多正道
よく伸びた脚が小言を踏んでいく
よしひさ
* 軽く踏みしめ球根を眠らせる
橋倉久美子
「球根を眠らせる」なんてちょ
っと言えないこと。作者の優しさにこち らまで温められま
した。丁寧な生き方の見え る、佳句。
* かるく踏んだくらいで返り討ちに遭う たむらあきこ
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