西山竹里選(入選39句)
*逃げたのは口火を切ったヤツだった |
佐佐木雀区 |
切腹なんて昔の人はスゴイなあ |
佐伯たみこ |
髪を切るほどの恋には出会えない |
こみち |
*もう切るよ言って始まる長電話 |
横手敏夫 |
悪役は所詮切られる時代劇 |
隼人 |
自治会の入会率が5割切る |
うさぎ物語 |
ひこばえがうまく出てくるように切る |
橋倉久美子 |
自分では切り難くなる足の爪 |
村上佳津代 |
腐れ縁薄皮ひとつ切る勇気 |
宇都満知子 |
切るまでもないと卒寿の腐れ縁 |
小林祥司 |
*味方にはつけたが少し切れ過ぎる |
よもやま話 |
値上がりの連鎖断ち切りたい家計 |
野平光太郎 |
縁切ったはずのおはぎが笑う秋 |
出羽千代子 |
包丁を研いでトマトの試し切り |
城崎れい |
厚切りのチャーシューだけで並ぶ店 |
西井 茜雲 |
乱切りの野菜が集う筑前煮 |
安井紀代子 |
*お人柄切り方に出るカレーの具 |
陽香 |
切り口でフルーツサンド魅了する |
上平 祥 |
もつれれば僕はほどいて妻は切る |
あやめみのり |
歯みがきのチューブしっかり使い切る |
大木雅彦 |
*切った尾を拾って尻につけたがる |
冬子 |
切られてもドッコイ文句言うシッポ |
山登爺 |
*イカ刺しを料理バサミで作る嫁 |
甲斐良一 |
*ついでにと縁切寺を見て帰る |
てつろう |
駄目もとでやりましょうかと執刀医 |
奈良朱雀 |
セールスの電話は無条件で切る |
宮本 信吉 |
年賀状だけの繋がりさえ切れる |
芦田敬子 |
縁切っていない証しの年賀状 |
春日綾乃 |
指切りをしたことがあるひとが逝く |
石川柳寿 |
嫁ぐ朝恵方見て切る仕付け糸 |
福村 まこと |
*平静を装う妻のみじん切り |
信天翁 |
切り分ける手をじっと見る子どもたち |
あすか行人 |
*勝てそうな相手にだけは啖呵切る |
野村齋藤 |
*花形に切ってみたけど同じ味 |
橋倉久美子 |
もう一人産めば四つに切り易い |
平尾定昭 |
*切断をしないとわからない木目 |
徳重美恵子 |
秀 3 公園のセミの苦情で切る樹木 |
さだえばあちゃん |
秀 2*寿命さえ解れば使い切る貯金 |
福多郎 |
秀 1 人の世の切り取り線である寿命 |
北田のりこ |
評
「切り取り線」が巧いと思う。少しずつ、少しずつ、切り離されていくのですね。