吉崎柳歩選(入選30句)
* ハンカチに包んで帰るプロポーズ
ゆず大福
ハンカチに包んだままで恋終わる 真田義子
* 布一枚種も仕掛けも隠す技
きぃろっく
* 一片の布がヌードでないと言う
佐藤千四
* 針箱で出番を待っている端切れ
橋倉久美子
若者をボロ布にして社は儲け
竹中正幸
* 布おむつ三日でエコを諦める
こみち
布一枚創作意欲沸いてくる
浅原幸子
* 布おむつ消えて昭和が遠くなる
あかり
* キャンバスを足さねば描けぬ復興図
風来堂
センスよいドレスに苦心する布地
泉水冴子
お下がりの学生服の小さき継ぎ
はまゆう
包帯のなかを忘れて弾む秋
小川佳恵
古布はぎれ前頭葉が動きだす
岡内知香
* 雑巾が乾いたままの独り者
佐藤千四
愚痴言わずテーブルクロス替えてみる
土呂小町
* 一枚の布に女のシルエット
青砥たかこ
風呂敷に争いの種包み込む
小原敏照
捻られてあっさり皺になった布
尾崎なお
* 過去は過去今雑巾として生きる
早川トミジ
老眼鏡ピンクの布で拭いている
東川和子
デザインで絹地に勝った木綿です
安藤なみ
* 柔らかいだけでは包帯になれぬ
橋倉久美子
白旗にされてしぶしぶ揺れる布
寺川弘一
ゆったりとバラードなんか歌う絹
加藤ゆみ子
融通が利かぬ布目が真っ直ぐで
ゆず大福
中身より布が立派な除幕式
伯林
神さまの画布であろうか大宇宙
早人
五十年掛かって雑巾になった
門脇かずお
お互いに褒め合っている絹と綿
銀犀花
「布」は織物の総称であり、その代表的なものが絹と綿。服やシャツなど、仕立てたものは各論になってしまう。雑巾やハンカチはぎりぎりセーフとした。
反物のままでは終われない布地
吉崎柳歩