吉崎柳歩選(入選32句)
開けっ広げなたちです嘘はつきません
よしひさ
言いたくもないがついつい開く口
松本諭二
冷蔵庫開けても冷気感じない
由美
* 郷土誌を開く先祖に会うために
佐藤千四
ため息で開くページに恋とある
温故知新
ドアノブを失くし開けられない心
かっぱ堂
こじ開けてみたいあなたの胸のドア
そぞろ歩き
開けゴマ言うこと聞かぬパスワード
佐野 純
通帳を開いてため息をひとつ
かっぱ堂
お開きに慌てて椀とグラス干す
佐野 純
何気なく開いた本に諭される
なるほどマン
肝臓も胃も大腸も開けました
山田緑青
結論は開会前に決めてある
大釜洋志
風雪に耐えて雪割草が咲く
あかり
マニュアルを開いてぎこちない笑顔
上嶋幸雀
もう雪は降らぬと信じ開く梅
橋倉久美子
進みたくないが扉が開いている
名賀 久
少しだけ開くと興味そそられる
青砥たかこ
*
僕の出番奪った瓶のオープナー
北田のりこ
*
仏壇を開くとご先祖がぼやく
山田緑青
非常口開いてみんな走らせる
寺川弘一
隙間風はピアスの穴を開けたから
安藤
褒めたから次つぎ開けて見せられる
吉田梨花
*
熟睡の口は開いても構わない
松谷大気
試練とは知らずに開けている扉
竹口みか子
叩いても開くかどうかは分からない
辻内次根
開けないで今羽衣を脱ぐところ
まりえ
*
パッと咲かせる恋人を入れる傘
北田のりこ
*
香典袋仏になり代わり開く
橋倉久美子
*
誇張したかたちに開くこともある
たむらあきこ
口開けたままで返事をさす歯科医
加藤吉一
* 桜咲くあいだは開けている茶店
吉田梨花
休日と晴天と満開が重なって目の回るような忙しさだったあの日。今日はもう嘘のように花見客もちらほら。情景が見える川柳。
開いてはみたがさっぱり解らない
吉崎柳歩