目次25年5月号
巻頭言 タイトル
すずか路
・小休止
・柳論自論
川柳・人と句「 會田規世児さん」
・例会
・例会風景
・没句転生
・インターネット句会
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・ポストイン
・あしあと・その他
・大会案内
・編集後記

 


たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ


柳歩

清水 信さん
久美子
新家完司さん

たかこ
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巻頭言

タイトル

 文章や本には「題」あるいは「見出し」がつけられる。「題」によって中身を読む気にさせるもの、書かれていることが即座に推測できるものがある。

「題」が奇抜で売れる本は、読み出すと期待はずれのことが多いが、まず読む気にさせることが大事だから、それで役目は終わることになる。

 句集の題も趣向を凝らしたものがある。六月発行予定の久美子さんの句集は「だから素顔で」である。「素顔で」だけでもいいようなものをわざわざ「だから」をつけて読む気をそそっている。

 私が出した「マチエール」は、絵画用語で、意味や中身はともかく舌触りのよい言葉ではないかと一人満足している。

 柳歩さんが二年前に発行した「瓶の蓋」は作者の性格そのままで、分かりやすい題であったと思う。

 今年話題を集めた芥川賞の、最年長の受賞作は「abさんご」。ラジオで聴いたとき一瞬「海老の産後」と思ってあとで苦笑した覚えがある。かなり以前に書かれたもので、それも横書き。内容は古典風と言った人もいる。私も借りて読みかけたが、黒田さんを清少納言の生まれ変わりではないかと思ってしまった。なぜか「枕草子」が頭に浮かんだのである。このことは、土曜会でも同意見が出た。

 土曜会の主宰の清水 信先生は、この「川柳すずか」の「特別室」でもおなじみだが、私が川柳の世界に入る前から市が主催する「文芸教室」の講師だった。「題」に対して「小説は題が決まったらほぼ完成に近い」という意味のことをおっしゃってビックリしたことがある。「題」は「テーマ」なのだとすれば、それほどビックリすることもなかったのだが…。

 川柳も「課題」に沿って作句することが得意な人とそうでない人がいるが、題があってもなくっても、自分らしい句を詠みたいものだと思う。

                                          たかこ            

 

すずか路より
満開が早い桜は早く散る 長谷川健一
重心が次第にずれてくる体 水野 二
どの花だろう私を誘ういい香り 竹口みか子
春色へ妻と散歩の車椅子 瓜生晴男
口数が少なくなった要注意 安田聡子
朝の電話今日の予定が狂いだす 芦田敬子
覚えのないぐらいに酔ってみたい下戸 圦山 繁
暗いのは嫌い夜道も相棒も 鍋島香雪
タンポポハは羅針盤など持ってない 小出順子
半袖かコートか迷う春の朝 鈴木章照
風の声おひとりさまもいいものだ 青砥和子
母の日のカーネーションは値切れない 山本 宏
採血のナースの指が冷たすぎ 高柳閑雲
親友も呼んでもらえぬ家族葬 川喜多正道
脳ドックいつもの脳で来いという 石崎金矢
華やかな衣裳を誉めるフラダンス 加藤峰子
バランスを崩しバランスとっている 青砥英規
プライドがぎっしり詰まる父の杖 尾アなお
決心がつかずピアスの穴がない 岡ア美代子
ブラジャーを取ると自由になるこころ 神野優子
買い物に出たくないので煮るカレー 山添幸子
オレオレ詐偽君にも親は居るだろう 水谷一舟
春寒に亡母の足袋を履いてみる 加藤けいこ
雨降りは大手を振って本を読む 小川のんの
いつ死ぬかわからないよと言っておく 石谷ゆめこ
バスツアーたまに夫も誘います 岩谷佳菜子
桜咲くたび想い出す初デート 西垣こゆき
節穴の雨戸の明かり日曜日 松岡ふみお
帆を上げているのに風が吹いてこぬ 坂倉広美
私になれないままでいる四月 橋倉久美子
お神籤は凶も出るから引きません 北田のりこ
顔色をうかがってから出す答 落合文彦
追憶に蒼天の日はこれっぽち 河合恵美子
あり合わせにしては豊かな昼の膳 鈴木裕子
勝てば官軍アベノミクスに逆らえず 吉崎柳歩
うじうじとするのもまぎれない個性 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句15「會田規世児さん」                                                                                   たかこ


雷を逃げる小さな樹を探す
ぼくの辞書 負けという字が消してある
ふるさとをとことん食べる道の駅
おふくろの味に集まる褒め言葉
髪洗うときどき思う加齢臭

初詣で寅の年でも絵馬という
エレベーター女ひとりの香に押され
マニフェスト並みの約束なら出来る
晩学の足しに川柳しています

生き過ぎぬように小銭を貯めとこう
万歩計万歩歩いたことがない
よく撮れた自分にいつも負けている
初耳の話へ腰がういたまま

忘年会受け付けますとまだ九月
薬包紙だけで折りたい千羽鶴
生も死も孤りと決めて軽くなる
給付金ぼくの口座は妻のもの 

段差などないがけつまずくけつまずく
ぼくの辞書負けという字は消しておく
お見舞いの客を待ってる身だしなみ
お見舞いへ口の元気を詫びている
生と死を忘れて夜はよく眠る

 

4月27日(土)例会より
宿題 「つぶす」 青砥たかこ 選と評
  バス待ちの時間つぶしている足湯 吉崎柳歩
  鯛焼きが押しつぶされてギブアップ 長谷川健一
 秀 口ひとつで時間つぶせるのも女 橋倉久美子
はきつぶされて大満足なスニーカー 青砥たかこ
宿題 共選「すんなり」 西垣こゆき 選
  根回しが効いてすんなり決まる役 青砥たかこ
  口はさまなければ早く終わる愚痴 川喜多正道
 秀 すんなりと解けてひまつぶしにならぬ 橋倉久美子
譲られて笑顔で座る癖がつく 西垣こゆき
宿題 共選「すんなり」 吉崎柳歩 選
  針の目がすんなり通る五月晴れ 加藤けいこ
  蝶結びなのにすんなりほどけない 青砥たかこ
 秀 すんなりと解けてひまつぶしにならぬ 橋倉久美子
黙秘権すんなり行かぬ取り調べ 吉崎柳歩
席題 「祝う」 清記互選
 7点 百歳を八十歳の子が祝う 青砥たかこ
 6点  生きているうちはいつでも祝い酒 竹口みか子
  諭吉ではなく祝電が届けられ 吉崎柳歩
   カレンダーの都合で変わる祝の日 芦田敬子
  盛大に祝い退路を断っておく 橋倉久美子
 5点 千円十枚祝儀袋をふくらます 北田のりこ
 4点 会則で祝出るのは初婚だけ 北田のりこ
  代理からあまり嬉しくない祝辞 吉崎柳歩
  お祝いをもらって破談言い出せず 青砥たかこ
  ライバルの左遷は祝ったりしない 橋倉久美子
特別室

 愛欲について                                       清水 信 

  川柳と俳句に共通する要素として、「迫力について」や「恐怖について」語ってきたが、今回は「愛欲について」語ろうと思う。「アイ・ラブ・ユー」という短い愛の告白に象徴されるように、愛欲にからむ言葉は概ね短い。福岡大牟田市の『連衆』64号から先ず、愛欲描写に挑戦している作品を引く。
                高橋修宏
・日と月のまじわいの涯なめくじら
・うつせみは空蝉のまま乳房吸い
・水仙の蜜吸い尽くし沈む島

 これらはエロティシズムから無縁とは言えぬ。さらに谷口らの作を引く。
                谷口慎也
・昼過ぎのあやめもつとも多情かな
・ところてん不意に突かるる快楽かな
                川村蘭太
・Tシャツのケバラを揺らす乳房かな
                島村ゆうた
・汗臭くなるよときどき天の川

 この雑誌には男波弘志の「土方巽論」があって、舞台で男色劇を演じたこの異才のことを書き、雑誌としても愛欲への傾斜を示している。

『狼』38号(能美市)もエロティックな志向がある。
                 油本麻容子
・沈丁に溺れています僕と鬱
・花衣ふり向くあなた草書体
                 中内亮玄
・春風に僕らは薄く剥がされる

 『青い地球』306号(諏訪市)からも数首引く。
                鬼頭富子
・あれはあれでよかった夏
                三浦桂芽
・百日紅の花ひしめいて愛が産まれた
                矢沢小夜
・花を隠してエロチックな無花果
                後藤泰号
・秘やかに太っていた腹の奥の霧

『韻』11号(安城市)からも引く。
                 白木忠
・しんじつの闇がくわっと凹みたる
                小笠原靖和
・男の恋桔梗とすこし祈りしのみ
                 後藤昌治
・蟋蟀やわれは一途になれなくて

 柳人には迷惑な提言だったかも知れぬと思うが「他山の石」として、俳人の努力からも学んでほしい。

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 うかうか 』  応募76句
 1 2  老いひとりやさしい嘘に乗せられる 福井悦子
 1 0  うかうかと引き受け重くなる荷物 北田のりこ
   更新を忘れ無効になる免許 青砥たかこ
   9  うかうかと指紋残したまま帰る 尾アなお
   7 点   非常食うかうかすると期限切れ 岩谷佳菜子
      新入りに抜かれ悔しい棒グラフ  よしひさ
      あと一段あると知らずに踏み外す 川喜多正道
   うかうかとできぬあしたが締め切り日 瓜生晴男