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前月入選句発表 お題「 家 」応募238句119人
 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 

 

 


 

秀3
秀2
秀1
 評

 軸


たむらあきこ選(入選32句)

  風水は無視ゴキブリの家を置く                 板垣孝志
  ツリーから望む我が家がいとおしい                 順也
  収納の本が散らばる家の中                  三輪さんぽ
  家ごとに匂いがあった隣組                    佐藤彰宏
* ワンルーム話し相手はキティちゃん               岩堀洋子
遺産分けまとまらなくて売れぬ家              川喜多正道
    入院し嫌いな家事がしたくなる               アズスン安須
  夫いる家の電話は弾まない                    やひろ
* ビー玉の転がる家にあるローン               阪本こみち
  団欒も虐待もある屋根の下                      由美
* 思い出が多くて家が片付かぬ                    端流
* 留守にした家が気になる消防車                 小林祥司
  あるのがカタツムリないのがナメクジ               紫敷布
* 磯野家も無事ではすまぬ震度7                吉崎柳歩
  母さんが糠で磨いた長廊下                   大木雅彦
  絆だけ集まればよい家族葬                  寺川弘一
  落書きも柱の傷もそのまんま                   ちゃくし
* 家じゅうを敵に回している紫煙                  みぢんこ
* 猫だって家に帰れぬ訳がある                    竹林
* 何してる家か気になる門構え                片山かずお
  束の間の家主になれる妻の留守               上嶋幸雀
  スマホから中継される家の中                  名賀 久
  悲鳴あげながら取り壊される家                 吉崎柳歩
  住宅ローン済んで余生を読んでみる             寺川弘一
* ダイレクトメールが溜まるだけの家              青砥和子
  公園で国家論じるホームレス                 ポンタロウ
  来客もなくて久しい拭き掃除                  廣田千恵子
  社会的入院という仮ぐらし                    岡内知香
* 何くわぬ顔で帰ってきた家出                 北田のりこ
* 悪友は用もないのに家に来る                 松本諭二
* 身の丈を十坪の家は知っている               山田みのり
  表札があるから人の家だろう                 青砥たかこ
  異次元の空間に攫われるような不安を喚び起こす句。一歩踏み込むと、そこは異形の者たちのあの世につづく棲み家かもしれない。
  わたしという家綻びは見せられぬ             たむらあきこ
 

 

 

 








 

 




 

 






 

 

 

 

 


秀3
秀2
秀1
 評

 軸


吉崎柳歩選(入選35句)


  我が家への道を忘れる時が来る          ちゃくし  
  妹と実家に帰る日を合わす           青砥たかこ
  ふるさとの家が足音待っている          呑気呆亭
   ふるさとの更地の空に浮かぶ家         田村ひろ子
   またひとつ空き家になった風の音         辻内次根
* 何してる家か気になる門構え          片山かずお
   五十年仮設みたいな家に住み          かきくけ子
   古民家に悠々と棲む古時計           北原おさむ
   家系図の澱みに住んでいる私          加藤ゆみ子
* 身の丈を十坪の家は知っている         山田みのり
   表札の亡父亡夫が守る家             安藤なみ
* 家じゅうを敵に回している紫煙          みぢんこ
* ワンルーム話し相手はキティちゃん        岩堀洋子
   老いぼれた身体に馴染む古い家          新家完司
* 思い出が多くて家が片付かぬ             端流
   布団さえあればどこでも家になる         名賀 久
* 留守にした家が気になる消防車          小林祥司
* 猫だって家に帰れぬ訳がある             竹林
   鈍行に乗らなきゃ家に帰れない          尾崎なお
   保育所の代わりに使われる実家            由美
   カンツォーネ入浴中に響く家           高田桂子
   キッチンと書斎で揉めた設計図          伊田網人
   風媒の花にまみれていく空き家             呑気呆亭
   頑丈な家おおかみも怖くない          柴田比呂志
   家あって家へ帰さぬ放射能            氷川の杜
* 悪友は用もないのに家に来る           松本諭二
   付け睫毛みたいな軒の家である          山田緑青
* ビー玉の転がる家にあるローン         阪本こみち
   春の散歩で喪の家も通り過ぎ           東川和子
* 遺産分けまとまらなくて売れぬ家        川喜多正道
* ダイレクトメールが溜まるだけの家        青砥和子
   狭いほど便利な家になる老後           加藤峰子
* 何くわぬ顔で帰ってきた家出          北田のりこ
   成金の家に値札が付いている             鼓吟
   マイホームだけがこの世の戦利品         よしひさ

  人生は闘いである。刻苦奮励努力したわりに成果はあまりにも乏しい。ささやかなマイホームだけが庶民の「戦利品」である。
磯野家も無事ではすまぬ震度7          吉崎柳歩