青砥たかこ 選(入選39句)
割れやすい卵を胸に秘めている 闘句朗
*届かない夢に卵を産み付ける 有馬渚
卵焼き残した皿を下げられる 竹中正幸
その羽で包んでほしいまだ卵 柴田比呂志
ライバルもきっと飲んでる生卵 沢田正司
*真っ白な白衣が医者の卵だね 毛利由美
ひび割れた卵の殻に聴診器 闘句朗
不景気に金のタマゴが腐りかけ おかのマン
首候補金の卵の成れの果て 香山
親亀になれる卵はごく僅か 吉崎柳歩
プライドの卵傷などつけさせぬ 伊東志乃
生まれても生まれていないまだ卵 はらっぱ
卵の値夫の給料正比例 田地尚子
*卵割る 明日への扉開くため 高浜広川
私にもあった卵のような肌 岡嶋義幸
*投げられて卵は武器になっていく 杉山太郎
アラフォーが焦れる卵子に適齢期 奥村吉風
*レシピなどいらぬ男の卵酒 角丸弘之
焼きも良し卵1つの万華鏡 安井紀代子
*割れるまで何の卵かわからない 廣田千恵子
どう料理しようかボクの卵たち 猫じゃらし
*スクランブルエッグになって嫁にいく 大田はる
私の夢を繋いでいるカラザ 加藤ゆみ子
落ち着かぬ卵切らした冷蔵庫 西垣こゆき
卵とじ財布ピンチの救世主 高田桂子
卵が割れる度に世界が微動する 寺川弘一
抱卵の鳥の目配り気の配り 光畑勝弘
孫を抱く半熟卵抱くように 高田まさじ
安売りの卵のどこか薄い味 竹中正幸
*溶き卵足してふんわりしませんか 尾アなお
センターに置いた卵が腐ってる 有馬渚
たまご吸う80歳のアスリート 江利子
*卵にも風雅押しつけ月見蕎麦
圦山 繁
こだわりがありますたかが卵かけ 甲斐良一
ママシェフの卵は万能グルメ味 岩窟王
半熟にすると卵も色っぽい 橋倉久美子
秀3 温泉たまご中途半端な女です
桐壺
秀2 猛暑でも卵を産んでくれている 門脇かずお
秀1*孵らない卵をひとつ抱いたまま こみち
評
孵らない卵は、やはり夢。抱いたまま、いまだ諦めきれない思いがせつない。秀2の猛暑でもは超現実的でよかった。
軸 わたくしは卵扱い要注意
青砥たかこ