西山竹里選(入選39句)
「あ」に濁点つけたみたいな叫び声 |
由美 |
出欠を行けたら行くと濁される |
甲斐良一 |
腐っても濁っていてもセーヌ川 |
甲斐良一 |
*国背負い濁るセーヌの水を飲む |
星野睦悟朗 |
幼子の瞳濁らす紛争地 |
稲垣義舟 |
戦地の子澄んだ瞳が濁り出す |
おかの みつる |
沖縄の海を濁らす基地の数 |
北田のりこ |
*人類のエゴが濁らす青い海 |
陽香 |
非正規の心濁らす低所得 |
山田明 |
濁り水飲んで先生守る秘書 |
満月庵 |
濁らせて責任逃れする政治 |
𠮷崎柳歩 |
金バッジ言葉を濁す保身術 |
すずき 善作 |
濁声でとても迫力ある演歌 |
木村行吉 |
濁声が競りのマグロを旨くする |
あすか行人 |
無洗米だけど気になる水の色 |
ようこ |
濁りとるために何度も米を研ぐ |
荘子 隆 |
濁流に揉まれた過去は言わぬ石 |
木原 榮二 |
*人間を洗うと水も濁り出す |
原 洋一 |
どうしても濁ってしまう私の絵 |
ぱせり |
ひと言が多くて今日も場が濁る |
信天翁 |
濁ってはならぬ水族館の水 |
橋倉久美子 |
洗濯の水濁らせる運動部 |
由美 |
*温泉の濁り身体に効きそうだ |
鈴木由美子 |
新鮮な空気が濁るから欠伸 |
大木雅彦 |
水濁り少し自由になる金魚 |
春日綾乃 |
*咲くために少し濁った水も吸う |
澁谷さくら |
地政学黄砂が濁す日本晴れ |
竹中正幸 |
戦争の濁った記憶八月忌 |
宇都満知子 |
夕立のおかげ濁りの取れた空 |
橋倉久美子 |
濁った水飲んで大人になりました |
小野雅美 |
わたしも一役この世の濁り水 |
むらたゆきお |
嫌なこと言われて体中濁る |
青砥たかこ |
しっかりと記憶が濁る金バッジ |
木村行吉 |
*人間をよく見た後の目の濁り |
宮本 信吉 |
*戦いが空を濁った色にする |
冬子 |
清流をしばらく濁らせる豪雨 |
𠮷崎柳歩 |
秀3*真実を濁らせまいと敗戦日 |
平尾定昭 |
秀2 故郷に父母のやさしいだぢづでど |
八木五十八 |
秀1 九条を濁らせている武器輸出 |
すずき 善作 |
評
平和国家日本が、ついに殺傷能力のある武器輸出を解禁した。武器輸出三原則を防衛装備
移転三原則と言い換えた末の結末。憲法の平和主義がどんどん濁ってゆく。