橋倉久美子 選(入選39句)
深読みをされて恐縮してる駄句 颯爽
票読みのプロ無党派に泣かされる 竹中正幸
ルビ振られキラキラネームやっと読め 人見五郎
場の空気読んで泣きやむ三歳児 おさ虫
*難解な文字は迷わず読み飛ばす 森清泰範
何回読んでも理解不能な君の文 岡嶋義幸
裏の裏読んでジョーカー引かされる 吉一
*現世ならスマホ中毒金次郎 三浦芳子
憲法を自分勝手に読みたがり ブランクながい
*古新聞読み返してる休刊日 瀬田明子
深読みをしすぎて先へ進めない まみどり
*読み違えしたまま進むミステリー 澁谷さくら
読めるのに書けない文字をめくる辞書 ようこ
泣くときは邪魔字幕には要る眼鏡 北田のりこ
本紙よりチラシのほうを先に読む 柳谷益弘
*今月も5キロも読んだ新聞紙 平尾定昭
お茶漬けのように漫画も読んでいる かおる
AIも読めない君の胸の内 ブランクながい
*故障して初めて読んだ説明書 裕子
読み返すことない本にうずもれる 福多郎
*よく読むと効かない例も書いてある 徳重美恵子
いつか読むつもりで買ってある源氏 西山竹里
*記憶にはマンガの方の資本論 甲斐良一
*悪友の中の一人が読む弔辞 吉崎柳歩
ふりがながなければ読めぬ園児の名 まりえ
読む時間ないが買いたい本の虫 満月庵
*誰にでも読める名前で親しまれ じんじん
ちらちらとカンペ読んでるのが判る 吉崎柳歩
*週刊誌読むと血液ドロドロに 丸山 進
*拾い読みされてポイ捨てされた恋 藤澤霧堂
書斎では決して読まぬマンガ本 柴田比呂志
新聞は家で週刊誌は外で 安藤なみ
こんな筋だったかなあと読む二度目 甲斐良一
いいことがあるとか経を読んでみる 佐藤千四
ミスってもバレる恐れのない読経 加藤当白
北国の訛も入れて読む賢治 芦田敬子
秀3*読まれたい気持ちさらさらない草書
圦山 繁
秀2*患者には読めない文字の診断書
芦田敬子
秀1*入院に溜まった本を持っていく
正道
評
溜まった本を持っていくぐらいだから、それほど心配ではない入院で
ある。 意外だが納得させられる見つけ。
軸 *書道展読める読めぬで盛り上がる
橋倉久美子