吉崎柳歩 選(入選39句)
義理チョコに潜む言えない恋心 ミント
原発に潜む利権の根が深い
岡嶋義幸
お笑いの素質潜んでいた我が子 丸山 進
ハイド氏がときたま声を掛けてくる 柳谷益弘
堂々と店を構える逃亡者 松谷大気
母が棲む三面鏡の左側 桐壺
通り魔とテロの間をすり抜ける 杉山太郎
*懐に潜ませているドラえもん 渋谷重利
*ジェラシーの潜む喝采浴びている 相模秋茜
ほほえみに潜む爆弾低気圧 斉尾くにこ
掻きあげた髪に潜んでいる魔性 安藤なみ
*潜んでる像を取り出す木彫師 船岡五郎
言の葉の裏に潜んでいた答え 松尾冬彦
*追伸に潜ませておく僕の意地 おー寒
潜ませておくと増殖する不満 おー寒
マドンナの笑窪に潜むしたたかさ しげのり
単身赴任どこかに潜む妻の影 康文
順不同の中にも潜む自尊心 名賀久
*草食の男が潜むマンガカフェ 大木雅彦
*本心はここか2ページ四行目 いわさき楊子
*近づくとぼやけてしまう点描画 笹田しま
*水虫が夏まで眠る足の指 西垣こゆき
いつまでも心に潜むにくい人 夢香
かくれんぼ早くわたしを掴まえて こみち
*強面の伝わりにくい恋心 紫敷布
ずるいとこいっぱいあって私です 上田ひとみ
*健診を隠れ肥満がすり抜ける 颯爽
体調は悪くならない潜伏期 西山竹里
小さい方の箱に潜んでいるホンネ いわさき楊子
フロイトに詮索される俺の夢 甲斐良一
余力まだあり徳利を振っている 柴田比呂志
目指すのは富国強兵なんですね 佐藤彰宏
かゆいのもくしゃみも我慢して潜む 橋倉久美子
*次回作潜ませている終わり方 やひろ
潜んでいると息をするのも忘れそう 竹口みか子
嬉しさを隠しきれない指の先 田村ひろ子
秀3 追伸にネズミ花火を潜ませる
木漏れ日
秀2 本命のチョコですどうぞ気がついて
岡本恵
秀1 潜むには隙間が少し狭すぎる
橋倉久美子
どういう状況でそこに潜むことになったのかは分からないが事は緊急を要する。潜むための隙間は広すぎても困るが狭すぎるともっと困る。簡潔で無駄のない表現。
軸 *銀杏が潜む正しい茶碗蒸し 吉崎柳歩