青砥たかこ 選(入選39句)
重ね塗りしてもやっぱり滲み出る 橋倉久美子
*挑発の手法に滲むお国柄 渋谷重利
*記者会見滲み出てくる見苦しさ 荘子隆
セシウムが滲んだままの開拓碑 佐藤千四
水性と油性間違い大惨事 ペースかめ
冷や汗を滲ませ妻にウソをつく 岡野 満
人間が滲んであれこれと背中 杉山太郎
悔しさが滲む無言の退職日 竹中正幸
担任の矛盾が滲む内申書 加藤吉一
地球儀に血の一滴が滲んでる 平尾定昭
人生も掠れ滲みに味がある 瀬田明子
*ひとことが滲み大きなシミとなる 平子久仁子
*背広から哀愁滲む終電車 人見五郎
雨粒で滲んだことにしておこう 笹田しま
*ライバルは五秒で涙滲ませる 石森あやみ
人柄の滲む一言惚れさせる かきくけ子
*解凍をされてあの日が滲みだす 桐壺
一滴が滲み傷口晴れにする 葵
標本に蝶の涙が滲んでる 徳重美恵子
*作り手の温もり滲む直売所 瀬田明子
大あくびの涙お気楽に滲む 古都
*装ってみても私が滲み出る 吉田梨花
ひたすらに謝罪ワキ汗滲ませて 北田のりこ
悔しさを滲ませビデオ見る力士 圦山 繁
滲ませて美人に描いたので許す えり
メールでは確認できぬ涙跡
八十日目
雨垂れが秘めた想いも滲ませる ミント
乾杯で一挙に胃袋滲みます 中川喜代子
教養が滲み嫌われ者である 完司
成田屋の滲み出てくる夫婦愛 荘子隆
*天才の毛穴は知恵が滲み出る おさ虫
命名の墨の滲みに夢を盛る よしひさ
教養が滲まぬように厚化粧 甲斐良一
本物の品格体から滲む 片山かずお
*グラデーションかけて思い出語りだす 晴子
*おいしさが滲み出ている桃の肌 北田のりこ
秀3*大男滲む程度の血で騒ぐ
芦田敬子
秀2 採血のあとの痛々しいシール
かっぱ堂
秀1 滲むのが嫌で飛び出すかごめの輪
しょうこ
かごめの輪の例えが面白い、嫌な部分がじわじわ滲むのを止めるには抜け出すしか
ない…人間界のスリルを感じた。
軸 *悔しさが滲んだお悔やみの言葉
青砥たかこ