橋倉久美子 選(入選39句)
後手後手で波に乗れない菅総理 |
竹島晃 |
GOTOが煽るコロナの二波三波 |
よしひさ |
二波三波寒波みたいに言われても |
佐藤彰宏 |
第三波来ても無策の新総理 |
羽馬愚朗 |
ディスタンスウェーブできぬスタジアム |
竹中正幸 |
テレワーク書斎へ居間へ飛ぶ電波 |
わこう |
人の波避けてリモート初詣 |
伶音 |
デジタル化政府主導の大津波 |
坂本加代 |
後悔はバブルの波に乗ったこと |
光畑勝弘 |
波よけに幾多の秘書を重ねおく |
福村まこと |
防波堤津波に負けた過去を背負い |
安井紀代子 |
一撃の波でいまだに汚染水 |
柳谷益弘 |
プラゴミを地球半周させる波 |
竹中正幸 |
*周波数互いに探る初対面 |
甲斐良一 |
押して引く波に翻意を迫られる |
奈良朱雀 |
波風を立ててはならぬ婿養子 |
まさじ |
波風が立たないうちに白い旗 |
柳谷益弘 |
良い波は見てるだけではつかめない |
城崎れい |
チャンス到来乗れそうな波が来る |
柴田比呂志 |
*吠えすぎた悔い大波が来る気配 |
かきくけ子 |
どんとこい七十代の波に乗る |
東川和子 |
荒波をさざ波だなと言える歳 |
かきくけ子 |
波風を嫌う余生の大あくび |
山田明 |
北斎の波だサーフィン身構える |
福島亮也 |
北斎の荒波富士を威嚇する |
おさ虫 |
背を向けた途端に浴びた波しぶき |
石森あやみ |
*よこ波に不意をつかれたやじろべえ |
じんじん |
さざ波をたてに小鬼が勝手口 |
モモコ |
大波も小波も知らぬ深海魚 |
吉崎柳歩 |
波乗りのようには渡れない世間 |
吉崎柳歩 |
さざ波の立つ辺りから湧く噂 |
奈良朱雀 |
長老が帰った後のひと波乱 |
宮尾柳泉 |
防波堤を越えていってはならぬ波 |
西山竹里 |
北斎の眼には止まって見える波 |
戴 けいこ |
時をかけ岩の形を変える波 |
戴 けいこ |
サーファーが乗ると注目される波 |
西山竹里 |
秀3
プラゴミの波に悲鳴を上げる海 |
ころのすけ |
秀2 日本海ドラマになると荒れ狂い |
佐藤彰宏 |
秀1 荒波にもまれ美味しくなる魚 |
白鳥象堂 |
評 文字通り魚のことと受け取ってもいいが、人間に見立てることもできる。後者の場合でも、
説教臭くなく軽やかに詠んであるのがいい。
軸
*あのころは小さな波と思ってた 橋倉久美子