吉崎柳歩 選(入選39句)
紙飛行機屋根まで飛んでそれっきり |
晴子 |
*兄ちゃんの紙飛行機が残る屋根 |
平井美智子 |
不時着す紙ヒコーキのラブレター |
丸山 進 |
飛行機に乗って見下ろす銀世界 |
つねを |
格安のフライトだからこんなもの |
岡本恵 |
テロ犯も航空券は前払い |
福村まこと |
*ドカ雪へ今日は飛行機骨休み |
竹中正幸 |
飛行機がため息をつく駐機場 |
高柳閑雲 |
無人機が異国の空で撮る写真 |
関口行雲 |
航空運賃体重別にするべきだ |
北田のりこ |
ベルトサイン見ればトイレが近くなる |
永見 心咲 |
飛行機も燃費悪けりゃ売れません |
松本諭二 |
東京の夜景眼下に見る帰国 |
通せん坊 |
*富士山を見下ろしながら飲むビール |
森山文切 |
人災が空の上から落ちてくる |
葱坊主 |
すかすかで飛び立つ政府専用機 |
ホッと射て |
武士らしくないタラップで手をつなぐ |
加藤 当白 |
飛行機のプラモの羽の鋲が好き |
森下博史 |
着陸の振動つまり生きている |
いわさき楊子 |
終戦を知らずに散った特攻機 |
徳重美恵子 |
*口角を上げると春の滑走路 |
久保卓子 |
*何時までのフライトなのか夫婦旅 |
うちだあつこ |
*機内でのサービスはない戦闘機 |
福村まこと |
*飛行機も後で気がつく落とし物 |
瀬田明子 |
*ジェット機になれぬわたしはプロペラ機 |
岩崎誠治 |
デパートの屋上だった初飛行 |
小林祥司 |
*長い足どう畳もうかエコノミー |
こやまひろこ |
爆弾を抱いた日もある赤とんぼ |
光畑勝弘 |
大空を分ける飛行機雲の意地 |
田村 ひろ子 |
*青空に飛行機雲の一本気 |
大木雅彦 |
ふんぎりをつけて飛び立つ航空機 |
橋倉久美子 |
編隊でゆく飛行機は見たくない |
板垣孝志 |
*飛行機と息を合わせて離陸する |
武良銀茶 |
ミサイルへスクランブルは間に合わず |
竹中正幸 |
乗客は飛行機雲を見られない |
由美 |
飛行機に必ず乗っている機長 |
西山竹里 |
秀3
飛行機もアテンダントも再雇用 |
深谷江利子 |
秀2
ジェット機の翼に残るガムテープ |
安藤なみ |
秀1
飛行機はまだ機械から脱皮せず |
森下博史 |
評
20世紀初頭、ライト兄弟によって初めて動力(機械)によって飛行した飛行機。そろそ
ろ機械から脱皮してドラゴンか天馬に進化しても良さそうなもの。目の付け所が見事。
軸 着陸の瞬間察知するお尻
吉崎柳歩