青砥たかこ 選(入選39句)
脱会をするにもかなりいる勇気 裕子
字余りになる命ならそっと脱ぐ 柴田比呂志
着るよりも脱ぐのが辛い試着室 松尾冬彦
眺めいいから脱線をしたまんま 東川和子
僕の轍に脱輪の跡もある 北田のりこ
* とんがったところを脱いで明日にする たむらあきこ
* アンクレット付けて少女は脱皮する ええ一
後悔を脱げばやたらと寒い夜 汐海 岬
脱皮する度に世間が狭くなる 吉道航太郎
* 湯けむりに脱いだ未練が溶けてゆく かずよねえちゃん
* 銭湯の篭に押し込む美辞麗句 板垣孝志
脱輪もオーバーランも糧とする 高浜広川
* 裃を脱ぐには少し酒がいる よしひさ
脱サラを考えている馬の脚 ええ一
脱帽はしません声が出てるから 加賀村一雄
制服を脱いだ娘が他人めく 芦田敬子
過去なんて脱ぎ捨てちゃえば楽なのに 小田和子
三欲も失せたが解脱まだ出来ず 高杉千歩
乱れ籠今日の疲れが脱いである 片山かずお
しがらみを全部脱いだら人でなし ちゃくし
着て暑く脱けば荷物の防寒着 わこう
玄関で鎧兜を脱ぎ終える りょうちゃん
一肌脱いでいつも大きな風邪をひく 濱山哲也
脱脱脱のっぺらぼうになりました 和田洋子
* 脱線を繋ぎ合わせて生きてきた かずよねえちゃん
脱いでも脱いでも私がでてこない 田村ひろ子
崖っぷちの脱輪はっと目が覚める 吉田梨花
どうしても最後の1枚が脱げぬ 杉山太郎
* 脱ぎ方の順序が風呂に貼ってある 安藤なみ
脱臭が無色無臭の人増やす 大田はる
* べっとりとへばりついてる青を脱ぐ 守田啓子
裃を脱いだ途端に只のひと 佐藤彰宏
脱線をしてから長くなる話 永見心咲
生きている限り脱皮を繰り返す 岩堀洋子
* 脱日常 小さな旅がもう終わり 吉崎柳歩
脱老化 会いたい人が出来ました 山田みのり
* 脱原発も脱焼酎も難しい 新家完司
二人きりになると紳士を脱ぎ捨てる 片山かずお
欲の皮脱ぐと肩こりしなくなる 小原敏照
そうかぁ、近頃よく肩が凝ると思ったけど欲をしっかりまとっ ているからなのですね。ごちゃごちゃ書かずすっきりとした句姿
に参りました
脱け殻になっても好きでいて欲しい 青砥たかこ