吉崎柳歩選(入選34句)
* 閉会のあいさつ誰も聞いてない こみち
元通り閉じて指紋も拭いてきた
尾アなお
閉じ込めた愛が大きくなり過ぎる
みぢんこ
* 時効まで浮気の罪は閉じておく
良馬
三猿で生きたら出世できたかな
圦山 繁
* 気の乗らぬ見合い心を閉じて行く
橋倉久美子
マニュアルを閉じると笑顔つくれない
上嶋幸雀
* 売上の記録つくった閉店日
端流
結末を知りたくなくて閉じた本
柳谷益弘
愚痴はもう言わぬと決めて口を閉じ
順也
* 幸せを逃がさぬように封をする
柴田比呂志
しっかりと閉じても漏れてくる未練
青砥たかこ
目を閉じて何かが見えるまで祈る
松尾冬彦
本閉じて寝たことのない枕もと
加藤峰子
電源を切ればスマホも口を閉じ
りょうちゃん
本閉じてまた現実にリバウンド
板垣孝志
失恋のショック日記は閉じたまま
きぃろっく
正直に言えと言われて閉じる口
小星
失政の幕惨敗で閉じられる
竹中正幸
またひとり逝ってページが閉じられる
濱山哲也
何のつもりか片目だけ閉じている
門脇かずお
片目だけ閉じてあなたについて来た
永見心咲
エンデイングノートのむこう側は晴れ
西村みなみ
* 目を閉じて貴方いっぱい感じてる
竹内いそこ
* かあさんが口を閉じたら2℃寒い
紫敷布
何もかも閉じて寒さに耐えている
橋倉久美子
あいた口閉じると怖い顔になる
北原おさむ
よい香りかぐと思わず目を閉じる
北田のりこ
* コンパクト閉じて素直になっていく
銀犀花
モナリザは疲れて一日を閉じる
西村みなみ
閉店のシャッターに貼るご挨拶
裕子
目を閉じるタイミングなど考える
竹口みか子
文庫本と焼酎だけの冬ごもり
柴田比呂志
* 傷口は閉じたが傷跡は消えず
北田のりこ
人間には自然治癒力があり、やがて傷口は閉じられる。しかし、一見治ったように見えても、傷跡、特に心の傷跡が疼いてならぬときもある。
ケータイを閉じて話の輪に戻る
吉崎柳歩