橋倉久美子 選(入選39句)
大福を半分残す訳がある まりえ
*半分を分け合う富士の県境 松本泰任
半分を読んだ辺りで分かる落ち 伯林
半分でいいからなんてみんな嘘 田村ひろ子
興味半分登った樹から下りられぬ はるか
指されたくない手半分だけ上げる 銀犀花
半分はヒマをつぶしているお客 西山竹里
半額を待つうち欲しくなくなった はるか
永遠にゼロにはなれぬ半分こ 古都
*半開き許してくれぬ歯医者さん 圦山小夜子
半分はゴーストライターの力 加藤吉一
半分は仕事サボっている政治 小田虎賢
折半はしない田舎の遺産継ぎ 三川ふみ
恋人と半分こする空の星 吉崎柳歩
半分は妥協で続く老い二人 あかり
半分は形式的にする笑顔 松谷大気
半分はお世辞と知っている笑顔 大木雅彦
半分は虫が食べればええと言う 竹内美千代
核のゴミ気の遠くなる半減期 奥村吉風
露天風呂体半分若葉色 平尾定昭
アラフォーの恋は半分醒めている きぃろっく
半分に分ける相手の欲しい晩 土狸
半分こ覚えた孫のいい笑顔 佐藤千四
六・四に分けて孫との半分こ 北田のりこ
*半分にできればなあと飲んでいる 片山かずお
半分に切られてスイカ嘘つけぬ 圦山 繁
*幕内のまだ半分は日本人 端流
*半分も読まぬ新聞とっている 早川トミジ
半分は大地に残す野草採り 小田慶喜
半分も信じてないが買うみくじ 康文
折り返し地点分からぬ未来地図 陽香
半分といわれてそっとみくらべる 平子久仁子
いもうとがあねをうたがうはんぶんこ アズスン安須
どっちもが小さく見える半分こ 西垣こゆき
買い物が半分占めた旅行代 川喜多正道
*土産物解けば半分紙の山 安藤なみ
秀3 気持半分義理半分で出す祝儀
芦田敬子
秀2*半分は自己宣伝をする祝辞
沢田正司
秀1 半分が投票しない民主主義
照坊主
評 辛口の句を、秀句3句にいただいた。ことに秀1の句は、現代を的確に切り取った、まさに「今」を詠んだ句である。
軸*半分は氷が占拠するグラス
橋倉久美子