橋倉久美子 選(入選39句)
党内にさっぱり聞こえない異論
西山竹里
なにごともなかったように鰯裂く
岩根彰子
断捨離が済んで終活入ります
春爺
さっぱりが旨さを凌ぐ夏の膳
十六夜
どちらからともなく握手して和解
青砥たかこ
ゆく末は散骨されて風になる
人見五郎
*金魚にも話しさっぱりする心
古都
*悪口はポン酢をかけて噛み砕く
新家完司
*もがいてもさっぱり勝ちにつながらず
荘子 隆
さっぱりと言うがトップでゴールする
かきくけ子
暫くはさっぱりとする草刈り機
田岡修二
追伸を書かずに梅雨を終わらせる
月波与生
店番のネコが伸びするあくびする
深谷江利子
読み書きはさっぱりだったけど長寿
まりえ
*入浴ほどはさっぱりとせぬ足湯
北田のりこ
切り落としさっぱりとした腐れ縁
蕎麦酔人
さっぱりの別れ夕日が美しい
うちだあつこ
*泣くだけは泣いてさっぱりしてきたわ
児玉浪枝
カットしてさっぱりさせる梅雨の髪
幸柳
白紙でも達磨書いても叱られる
甲斐良一
ドレッシングかけて余生をこざっぱり
太田昌宏
薄味のカクテル恋が進まない
澁谷さくら
*にわか雨きれいさっぱり忘れます
田村ひろ子
*髭剃ってタクシーを待つ退院日
森清泰範
*代弁は必要ないと花鋏
まみどり
ヒゲ面は多分歓迎しない歯科
甲斐良一
産湯使いさっぱりとした新生児
{・c 桂子
*打席ゼロさっぱり見せ場無い補欠
あきら
お茶漬けで締める六十路のグルメ旅
陽香
さっぱりと認めた負けに裏がある
龍せん
厄介になる墓ていねいに洗う
柴田比呂志
しがらみを断ってさっぱり墓じまい
岸井ふさゑ
*温泉でさっぱりとしたプチ家出
よしひさ
月一でさっぱりを買う散髪屋
柴田比呂志
草刈りを済ませ見上げる高い空
上村夢香
断捨離は終えたし髭も当たったし
よしひさ
秀3 さっぱりと別れたはずがもう未練
名倉善雲
秀2 さっぱりとさせたあたりがクシャミする
田村ひろ子
秀1 脱皮終え蛇さっぱりと伸びをする
北田のりこ
評 私も脱皮の句が作りたかったが、こんなふうにはうまく作れなかった。
「伸びをする」がよい。
軸 日本語でないということだけわかる
橋倉久美子