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前月入選句発表 お題「押す」応募 276 139人





































 


毛利由美 選(入選39句)
         
印は両方の選者から入選した句

      肝試し先に行ってと背中押す                        小出順子
    現在地誰に押されて来たのやら                     柴田比呂志
    さりげなく妻の背を押す坂の道                       かきくけ子
    プリーツの寝押しも死語となり久し                          pp
    ご機嫌を聞くため桃をそっと押す                         桐壺
    絵手紙も落款印で箔がつく                            由美子
    実印を押す度指が畏まる                              磨育
    後ろから押されて名画見納める                       竹中正幸
   *スーパーで妻のカートを押す老後                      吉崎柳歩
    メモなのに訂正印が押してある                        木漏れ日
   *押し花になっても咲いていたい薔薇                     芦田敬子
      *念押しをされると痩せてくる自信                       圦山 繁
    さよならの教室押しピンをはずす                       和田洋子
      *反対を押して嫁いだから泣けぬ                          裕子
      *窓際に押し流されていく私                           真田義子
         炊飯器のタイマー押してプチ家出                    いわさき楊子
    春風がそっと背を押す独り立ち                        瀬田明子
    声援に背中押されてフライング                        高田桂子
      *このドアを押すとガラリと変わる風                      渋谷重利
      *送信のボタンを押せばもう他人                       かきくけ子
    出直しへ背中を押してくれた友                        沢田正司
    実印をきれいに押して覚悟する                          彩古
    判を押す時は考えてはならぬ                        森山文切
      *押し花に込めた想いも色あせる                       はぐれ雲
    白桃を押せば買い取るのが礼儀                      永見心咲
    ボタン押すだけでどうにかなる暮らし                   橋倉久美子
    心根を押し殺しても透けて見え                      平子久仁子
    春節に押すな押すなの富裕族                        つれづれ
      *指圧にはほとんど使わない小指                       西山竹里
      *作戦を立ててはならぬ押し相撲                        甲斐良一
      *いち押しと書けば名物よく売れる                      森清泰範
    春がもうここにも降車ボタン押す                         伯 林
    車椅子背で聞く妻の息遣い                             眞二
     *足のツボ押して体の機嫌とる                         浅原幸子
     *車椅子押して一緒の景色見る                         浅原幸子
    指圧師の指に病を指摘され                          坪井篤子
秀3   百均も象牙も押せばわたしです                          古都
秀2*終活という難題が押してくる                             陽香
秀1*押し寄せる客で北陸早い春                           つや姫
     秀1:ネット句会ならではのタイムリーさ。共感を呼びます。秀2:実感句として
  ひし ひ しと押し寄せるさま。秀3:比較短縮の妙。まとめがうまいです

  *押すだけじゃ女心は開かない                         毛利由美
 

 









































 


吉崎柳歩 選(入選3
9句)


   *押し寄せる客で北陸早い春                           つや姫
    爆買いの中国人が押し寄せる                         バリバラ
    長押しをおぼえて少し丸くなる                        月波与生
    長押しをされていびつな月になる                       岩根彰子
   *いち押しと書けば名物よく売れる                       森清泰範
    どれ押すか分からぬボタン多過ぎる                        早人
   *念押しをされると痩せてくる自信                        圦山 繁
    この星が危ない非常ベルを押す                       新家完司
    車椅子押す嫁の手が柔らかい                         金平糖
    押すまではカタチがあった片想い                       りのんぱ
    人生のリセットボタンあれば押す                       ねこママ
    車いす押して梅一輪の下                           木漏れ日
   *押し花になっても咲いていたい薔薇                     芦田敬子
   *押し花に込めた想いも色あせる                       はぐれ雲
   *反対を押して嫁いだから泣けぬ                          裕子
    前みつを取られて押せぬ恋もあり                         良馬
   *足のツボ押して体の機嫌とる                         浅原幸子
    押されない電車に妻と乗る余生                       永見心咲
   *終活という難題が押してくる                             陽香
    痩せるツボ気休めだけど押してみる                        らむ
   *車椅子押して一緒の景色見る                        浅原幸子
      気持ちが切れるダメ押しのホームラン                    岩堀洋子
    スイッチを押すとすべてが灰になる                       バリバラ
    割印を押して絆を強くする                            よしひさ
   *窓際に押し流されていく私                           真田義子
   *このドアを押すとガラリと変わる風                      渋谷重利
    初めてのセールス呼び鈴が押せぬ                         眞二
   *押すだけじゃ女心は開かない                         毛利由美
    コメカミをぐりぐり押して知恵を出す                     新家完司
    軽く押さえるダブルバーガー食べるコツ                  北田のりこ
    背を押してくるのはたぶんお月さま                    橋倉久美子
    わたくしも降りますだから押さないで                     西山竹里
    どこを押したら好きだと言ってくれますか                  松尾冬彦
   *作戦を立ててはならぬ押し相撲                        甲斐良一
   *送信のボタンを押せばもう他人                       かきくけ子
    深呼吸してから削除キーを押す                         こみち
秀3   誰も背を押してくれない片想い                         汐海 岬
秀2*指圧にはほとんど使わない小指                       西山竹里
秀1   押さえたら出来るわけではない笑窪                     毛利由美
 二重まぶたなら指先で操作したら瞬間的には出来ることがあるが笑窪は難しい。何でもないようなことを言っているようだが、この句には作者独自の発見がある。

 *スーパーで妻のカートを押す老後                       吉崎柳歩