吉崎柳歩 選(入選39句)
*春よ起きろと春一番が吹き荒れる |
片山かずお |
春一番多少の荒れは許します |
由美 |
春嵐今日は小さい付け睫毛 |
木村 行吉 |
挑発にすぐ乗る総理居る議会 |
竹中正幸 |
銃を持つ権利に学校が荒れる |
颯爽 |
低気圧鎮めるために酒を注ぐ |
堀 敏雄 |
母ちゃんが荒れるとメシが不味くなる |
松長一歩 |
青年はめざす荒野でなく都会 |
人見 五郎 |
愛されず部屋を斜めに掃除する |
尾崎良仁 |
*一行のメールに胸を荒らされる |
汐海 岬 |
ミサイルで荒らされている大宇宙 |
春爺 |
ときどきは荒れる迷彩服を着て |
柴田比呂志 |
荒れ果てた家がブームで蘇る |
じゅんたろう |
荒れた庭ここにも後期高齢者 |
いわさき楊子 |
手の荒れがなかったころのハイヒール |
福村まこと |
タクシーの機嫌が悪い空気圧 |
samu |
*肌荒れの顔は見せないお雛様 |
圦山 繁 |
心も肌も荒れてしまったダイエット |
よしひさ |
*気掛かりな隣の庭の荒れ模様 |
前川真 |
反抗期 君はかわいいハリネズミ |
岡本恵 |
ばあちゃんの荒野にちょいと化粧水 |
東川和子 |
荒れてから手入れをしても難しい |
西山竹里 |
*荒れた分今は介護で恩返し |
木村 行吉 |
百年後地球青いか荒れてるか |
真田 義子 |
*廃屋を乗っ取りそうな葛の蔓 |
北田のりこ |
荒れている人は自分で止められぬ |
はぐれ雲 |
不手際があって言葉が荒れてくる |
青砥和子 |
ストッキングが荒れたかかとに拒まれる |
橋倉久美子 |
廃線の駅舎に残る猫の皿 |
平井美智子 |
荒れたのを忘れたような凪の海 |
荘子 隆 |
荒れたハートに焼酎を振りかける |
新家完司 |
*雪道で鼻息荒い冬タイヤ |
白鳥象堂 |
思春期の自分持て余して荒れる |
片山かずお |
荒れた手はたくさん花を育てた手 |
澁谷 さくら |
大荒れの海へ打ちのめされに行く |
pp |
*歳時記を荒らす地球の温暖化 |
よしひさ |
秀3*さよならのあとの余白が荒れている |
米山明日歌 |
秀2
国会が荒れて国会らしくなる |
田岡修二 |
秀1
天変地異ちょっとくしゃみをした地球 |
ようこ |
評
恐竜は巨大隕石の衝突により絶滅したと言われている。それに比べると人類をあた
ふたさせる集中豪雨や大地震、津波など…と、地球のくしゃみに喩えたのが見事だった。
軸 国会も新燃岳も荒れている 吉崎柳歩