青砥たかこ 選(入選39句)
*万札も野菜も包む新聞紙 |
竹内光人 |
包むほど騒ぎが続くスキャンダル |
宮尾柳泉 |
焼芋を包むニューヨークタイムズ |
よーこ |
風呂敷にうわさも包み友が来る |
やんちゃん |
母という私を包む子守唄 |
ふじたかし |
やんわりと和紙で包んで口封じ |
福多郎 |
作業服社長を包む町工場 |
かきくけ子 |
包んだら醤油か酒か分からない |
芦田敬子 |
風呂敷の中で威厳の法律書 |
柳谷益弘 |
包み紙替え別人のふりをする |
平井美智子 |
常識に包まれ個性伸びぬまま |
石森あやみ |
大根を無駄なく包む新聞紙 |
冬子 |
イライラさせる十二単の包装紙 |
竹内光人 |
悪性と包むことなく告げる医師 |
圦山 繁 |
無造作に破られているラッピング |
徳重美恵子 |
包装紙破らぬように再雇用 |
安井紀代子 |
ガム捨てるときシワ伸ばす包み紙 |
森清泰範 |
幾重にも包み本音は漏らさない |
大島ともこ |
袱紗には包まなくてもよいチップ |
西山竹里 |
見せたくて見せたくなくて包んでる |
やっこ |
大切に二重の皮がくるむ栗 |
瀬田明子 |
*沿道のスマホが包む天皇旗 |
福村まこと |
*包み隠さず言って一生恨まれる |
糀谷和郎 |
しっかりと包むとこんなシルエット |
平尾定昭 |
*気持ちだけ包む豪華なのし袋 |
甲斐良一 |
*ご近所の目に包まれて独り住む |
こみち |
新聞に包むトロフィーの終活 |
古都 |
*なんぼ包むか姉妹で決めた御香典 |
裕子 |
火が包み悲鳴空しく消えた城 |
船岡五郎 |
おくるみに包まれていた戦士たち |
平子久仁子 |
プチプチに包むほどでもない部品 |
前原こきん |
風呂敷にくるんで月を持ち帰る |
柴田比呂志 |
泣き言をしれっと包むジャスミン茶 |
平井美智子 |
美しき嘘で包んでプラシーボ |
岡本恵 |
ラッピングまだ解かない初対面 |
澁谷さくら |
ハンカチで包めるほどの秋になり |
船岡五郎 |
秀3 フリースに徐々に包まれ冬になる |
たごまる子 |
秀2
波の愚痴やんわり包み込むテトラ |
木村行吉 |
秀1*父さんが包んだギョウザだと分かる |
北田のりこ |
評
最近の若いイクメンパパを思わせるところもあるが定年後の家事見習い中の
ごつごつの手で包まれた餃子が目に浮かんで離れなかった。
軸
ふうわりと包めば空気まで和む
青砥たかこ