吉崎柳歩 選(入選39句)
*フォルッテシモ一年生の良い返事 |
板垣孝志 |
反戦歌クレッシェンドで響き出し |
白鳥象堂 |
ハイヒールが響く無人のコンコース |
芦田敬子 |
響くのは箸の音だけひとり飯 |
フーマー |
チンの音侘びしく響くワンルーム |
光畑勝弘 |
飲み過ぎに響くサイフと妻の声 |
小林祥司 |
午前様へ妻の小言がまだ響く |
ブランク ながい |
戦いに出ていく夜のピンヒール |
こみち |
悩む子に響く言葉がみつからぬ |
圦山 繁 |
新病棟うなり声だけよく響く |
かっちゃん |
*打たなけりゃ響く太鼓も響かない |
やっこ |
地響きと風で特急通過する |
あかね雲 |
大好きな新幹線は音も好き |
ムギ |
響かないフレッシュマンに社の理念 |
ペースかめ |
*わたしにはわたしの響き手風琴 |
恭子 |
*口コミの影響すぐにでる売り場 |
恭子 |
戦場に笛が響いてノーサイド |
船岡五郎 |
調子よく合わせるだけの人でした |
関口行雲 |
響き合う愛にもやがて来る別れ |
通せん坊 |
*雨の日はみすずの声がよく響く |
米山明日歌 |
後悔を響かせている除夜の鐘 |
岡野 満 |
告白の言葉左脳にまだ響く |
すずき善作 |
空き缶をければ孤独の音響く |
samu |
ファンファーレ響き高まるボルテージ |
じゅんたろう |
いい音をここ一番で出すスイカ |
柴田比呂志 |
活断層に響きはせぬかリニアカー |
福村まこと |
*終い湯に美空ひばりを響かせる |
こみち |
連れ合いと響くところがまた違う |
東川和子 |
鶯とロマンをハモる牛蛙 |
丸山 進 |
触れられたあたりが鈴になっている |
平井美智子 |
響き合う鈴の音少しづつずれる |
真田 義子 |
ここのとこ響くものなく拭く鏡 |
やひろ |
*トンネルの壁が落ちそうバイク音 |
BBブンゴ |
反響を見て回り出す輪転機 |
前川真 |
判決に響く被告人の態度 |
西山竹里 |
鐘の鳴る丘から響く反戦歌 |
よしひさ |
秀3*靴音の響きの鈍い月曜日 |
辻内次根 |
秀2
酒という家計に響く置き薬 |
安藤なみ |
秀1
賽銭が多いと鈴もよく響く |
おさ虫 |
評
鈴の響きは賽銭の多寡には関係ないのだが、願い事が大きくて、ついつい賽銭を
弾んでしまうと鈴突きにも力が入るだろう。心理的見付けの句。
軸 耳鳴りの耳にも響く蚊の羽音 吉崎柳歩