市原悦子昔話で生きている |
鈴木由美子 |
肩のこる話を終えてのむお酒 |
澁谷さくら |
いい話あるんですがに切る電話 |
フーマー |
どっちみち自慢話に違いない |
上田ひとみ |
本人は自慢話と思わない |
橋倉久美子 |
*武勇伝八割引で聞いている |
月日備人 |
*溶け出して身の上話する氷 |
白鳥象堂 |
旅ひとり話し上手な海がいて |
柴田比呂志 |
ネコ膝に乗せてセピア色の話 |
和井戸翔 |
*堰を切る話に声がけつまずく |
ようこ |
ややこしい話素通りさせる耳 |
山口悦子 |
都合よい話ばかりを拾う耳 |
橋倉久美子 |
雑談で事件の鍵を拾うデカ |
北田のりこ |
*ノミネートされて話題になる映画 |
芦田敬子 |
カウンセリング聞いてくれればいいのです |
久保卓子 |
姉だもの明るい話ぶら下げて |
東川和子 |
献立のヒントをもらう立ち話 |
裕子 |
介護士は同じ話へ聞き上手 |
竹中正幸 |
居酒屋に自慢話の聞き上手 |
汐海 岬 |
母さんの遺影が話しかけてくる |
岡本恵 |
*マスクしたまま薄味の会話する |
田地尚子 |
たまにある言ったつもりのない話 |
長谷川清流 |
補聴器を付けるほどでもない話 |
芦田敬子 |
*話にも哲学滲む創業者 |
桔梗庵 |
*大臣のオフレコ談が踏む地雷 |
通せん坊 |
恨まれることは少ない話下手 |
冬子 |
思い出話食い違い出るクラス会 |
北田のりこ |
石段に座って話す胸の内 |
青砥和子 |
司会者をやきもきさせるご挨拶 |
通せん坊 |
ひと言を5分もかけて言う祝辞 |
甲斐良一 |
婆ちゃんも曾婆ちゃんも話し下手 |
児玉浪枝 |
好きな子に「話がある」と言われた日 |
雪上牡丹餅 |
*乾杯の自慢話に泡が溶け |
おかのみつる |
話し合い足して二で割る町役場 |
かっちゃん |
傾聴をしている人も話したい |
徳重美恵子 |
今日もまた同じ話を母はする |
ねこママ |
秀3*難しい話は書かぬ年賀状 |
圦山 繁 |
秀2
ここだけの話はみんな知っている |
白鳥象堂 |
秀1
その人の話すテンポで読む手紙 |
たごまる子 |
評
まるで今、相手が自分に語りかけてくれているかのように、相手の顔を思い浮か
べながら手紙を読んでいる作者。相手を思う温かい気持ちが伝わる良い句だと思った。
軸 *今からでは確かめようのない神話 西山竹里