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目次26年3月号 ・巻頭言 「 文字の姿」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・川柳・人と句「 吉本君枝さん」 ・例会 ・例会風景 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号「すずか路」散歩 ・誌上互選 ・インターネット句会 ・没句転生 ・ポストイン ・お便り拝受・その他 ・大会案内 ・編集後記 |
たかこ 柳歩整理 柳歩 たかこ 清水 信さん 久美子 永井玲子さん 柳歩 たかこ |
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巻頭言 | |
「文字の姿」
字の上手い人はなにかと得である。これは誰もが感じていることであり、よく人の口端にのぼる話題である。
若い頃、ペン習字の講座を受けたことがあった。小学生低学年のこくごのノートは、ひと枠が四つに分かれていて、文字を配分良くその枠の中に書くよう指導を受けた。それと同じような練習を強いられた。無いようである文字の癖を無くし、ゆっくりと書くことで上手な文字になるというのだろう。 文字は性格を表すという。大らかな人は紙からはみ出しそうな文字を書き、せっかちな人は偏と旁の間を詰めて書く。ミミズが張ったような文字、岩のようにゴツゴツした文字。可愛いおちょぼ口のような丸文字、文字を見ただけで、あの人だわ、と思ってもらえるのもいいことかも知れない。 人間にも相性があるように、文字にもあると思う。私は「伊勢」という字が好き。「鈴鹿」はどうもバランスが取りにくくて、手紙を書いても住所はつい判をついてしまう。川柳に「文字を書く」ことは不可欠である。相性云々は言ってられないのだが。 たかこ |
すずか路より |
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川柳 人と句25「吉本君枝さん」 たかこ |
たましいに十二単を着て生きる ぶどう一房みんな味方の顔をして 無人島あれは地球の句読点 バラードが流れてきます浄土から
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特別室 |
作家・青砥たかこ論(1) 清水 信 第29回四日市文芸賞の第一等の賞を得て、わが青砥たかこは、小説家としての地歩を固めた。 受賞作品は「ひき逃げ」という50枚の力作で、四日市市文化まちづくり財団発行の『四日市文芸賞作品集』の中に選評と共に収録されている。 選考に当った衣斐委員はこう述べている。青砥作品は「頭ひとつ抜きんでていた。昨年の作品と比べると、甘さや文体の瑕疵がなく、事故から九日間の加害者の女性の心理描写が緊張感を漂わせながらうまく描かれていた。ただ、職場の上司に事故をメールで知らせたり、二人の関係の描き方に甘さがないではないが、今回の小説としては許容される範囲として読んだ」 更に中山みどり委員は、こう言う。青砥作品は一読して「私は交通事故的なことを起した主人公が、その時点で他の男のことを考えられるのかと、疑問を持っていた。しかし、読み返してみると、夫を亡くした主人公の生活感がよく描かれ、筆力は確かさを持っていることに気がついた」 二人の批評は、青砥たかこの受賞作に於ける美点と欠点とを説き明かしているのみか、小説家としての青砥たかこへの期待を語っていると思われる。同人誌『さん』以来、この文学賞にも七回も応募したと聞くから、すでに長い作家歴があって、それとつき合ってきた自分は、この受賞がうれしいし、実力が認められたと納得した。
作品集に選評を書く以外にも、委員たちは授与式会場でも選考に触れたスピーチをするのだが、自分はそれを離れ日本人の語感が衰弱していることを憂慮することを語った。
アメリカのそれが「スマイル」であり、イギリスのそれが「セルフィ」であったのに比べると、日本人の選択はがさつで粗っぽいのではないのか。 因みに「セルフィ」とは、自画像ということだ。スマホや端末機で、自由に自分の表情やスタイルが撮れ、レタリングも可能になったことで、絵画に対抗できるのではないかという希望を指す。(続く) (文芸評論家) |
誌上互選より 高点句(一人5句投票) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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