目次26年7月号
巻頭言 「 椅子にまつわる話@」
すずか路
・小休止
・柳論自論「岸本水府論(中)」
新・人と句梅崎流青さん」
・大会
・大会入選句
・大会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・大会へのお便りその他
・大会案内
・暑中広告
・編集後記

 


たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ



清水 信さん
久美子
鈴木順子さん


たかこ
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巻頭言

「椅子にまつわる話@」

 十九名もの初参加の方を迎えて、第十二回鈴鹿市民川柳大会は無事終わることができました。全ての皆様に感謝します。
 その初参加のどなたかがおっしゃった。「こんな会場初めて。掘りごたつ式で楽だわ」と。長時間の正座は、最近の生活様式から辛抱しづらい。

 大会とは外れるが、「椅子」の話。

約十五年ぶりに歯科医院に行った。歯を磨くとちょっとの刺激で歯茎から血が出るようになって久しい。一念発起で出かけたが、椅子を倒され頭がぐわんと下がっていくとき、言い知れぬ不安とめまいが起こった。体中から汗が噴出し椅子がべたべたになった。枕が欲しいよーと叫びそうになりながら、じっと我慢をしていた。結局、歯周病の始まりで、歯磨きの仕方と、出血は恐れず歯茎のマッサージを十分間はするよう言われる。あとは消毒用のうがい薬を貰って、次回は一か月後来院するようにとなった。歯は物持ちがよくって、親知らずを一本抜いたのみで三十一本あった。不思議なことに虫歯は一本も無く、椅子が怖くなかったらもっと喜べただろう。

「椅子」で気分が悪くなるところは他にもあった。実は美容院のシャンプー台も私は怖いのだ。サービスで、トリートメントをやってくれるというのだが、一度やってもらってやはり気分が悪くなった。シャンプーのときより頭が下がった気がして、首が落ち着かない。顔はタオルを被せられているので、表情が見えないが、体の動きがかなりおかしかったのだろう、美容師さんが気付き、すぐアイスノンを首に巻いてくれて生き返った気がした。

 気分が悪くなるのは自分だけなのだろう、せっかく気持ちよくなるように、マッサージしてくれているのだからと我慢をしてしまった。あとで時々そういう客がいることを聞かされ気が楽になった。

「椅子」にまつわる話は、次回もさせていただく。ご意見お待ちしています。

                                          たかこ            

 

すずか路より
後攻めもある人生の勝負運 外浦恵真子
半分は本音でほめる嫁の味 瀬田明子
三回忌こちらは雨になりました 前田須美代
人間の道だ踏絵が置いてある 水谷一舟
好きなとこ行くには痛くならぬ足 小川のんの
なるようにしかならないと阿弥陀さま 石谷ゆめこ
網戸から全部聞こえる怒鳴り声 岩谷佳菜子
招かない客来て狂うスケジュール 西垣こゆき
一見の客で成り立つ道の駅 松岡ふみお
拝まれて大きなアクビするほとけ 坂倉広美
この足の下にもあるという遺骨 橋倉久美子
絞りすぎると手抜きをされる見積書 北田のりこ
使うかも知れない物が狭くする 河合恵美子
親離れして子離れができぬ親 落合文彦
うぐいすの声を聞かせてやる仏間 鈴木裕子
臑に傷今日の私の日記帳 長谷川健一
コミュニティ乗せるのでなく拾うバス 水野 二
首輪外れ犬もビックリする散歩 竹口みか子
父の日は娘たちからオモテナシ 瓜生晴男
神様の許容範囲に終わる運 加藤吉一
大丈夫いくら飲んでも汗に出る 安田聡子
十年でゴミ扱いの電気器具 芦田敬子
父の日に贈って欲しい物がない 圦山 繁
立場上言えない事と言える事 鍋島香雪
ハイヒールつっかえ棒が要りそうな    小出順子
見るだけのロマンの浮かぶ世界地図 鈴木章照
耐震化してないわたくしの体 高柳閑雲
年金を投機の海に投げ棄てる 川喜多正道
ポーズだけさせて写真はくれぬ人     石崎金矢
生きている限り西瓜の種飛ばす      柴田比呂志
貰い物消費するのに忙しい 加藤峰子
若者が死ぬとは言わぬ自衛権 佐藤彰宏
門限があるのは待っている証 西野恵子
渋滞の先頭走る人力車 青砥英規
ドア強く叩いてドアが劣化する 尾アなお
老体にむち打ちギャルとして走る 岡ア美代子
仏壇に向かって歌う千の風 神野優子
女盛り過ぎて何とか生きのびる 寺田香林
胴上げをされる心配ない余生 吉崎柳歩
礼状を出してひとつをクリアする 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句29「梅崎 流青さん」                                                                                   たかこ


トランプの一人占い病得て
貝開く嗚呼と小さな声を出し
ニュートンの法則ここに師の棺
七月の空に両腕攫われる
奇形魚になった泳いでいるうちに

死んでいく順が狂うて雪になる
人の死を重ねた色だろう桃よ
冷凍魚の眼の奥を見ましたか
国家論も鍋も沸騰して貧し

冷凍の精子いつかの日のために
道化師の通ったあとの水たまり
新緑の中で全血交換す
桃啜るときのみだらなくちびるよ

村中のカラス従え柩車去る
どうしよう死ぬにも力要るという
嘘一つのせ天秤が静止する
じゃが芋の花の咲く間も老いゆくか

母の膝ほどの温さの月が出る
腹見せて転がる蝉に蝉しぐれ
年明くる骨緩ませて水を飲む
貧しさの果ての鋭角だったとは
いつからかただどしゃ降りを許す街
 

6月22日(日)大会より
事前投句「結ぶ」 青砥たかこ 選
 初 光太夫結ぶ歴史が生きている 草野 稔
 秀 結び具合よくて長持ちしています 西澤知子
 秀 ネクタイを結びもやしもしゃんとする 加藤友三郎
 軸 何度でも結び直して時かせぐ 青砥たかこ
席題「理想」 武山 博 選
 初 日が暮れて理想に遠い青テント 柴田園江
 秀 純白の理想を追うているカラス 柴田園江
 秀 信じ切る理想不動にしてくれる 冨田末男
 軸 ピカソなら青い絵の具で描く理想 武山 博
宿題「外」(共選) 鍋島香雪 選
 初 九条の鎖は切るか外は武器 中山秀子
 秀 焦げ目などつけて見た目を整える 橋倉久美子
 秀 外国の舌を虜にした和食 金澤市兵衛
 軸 外からの意見も聞いて策を練る 鍋島香雪
宿題「外」(共選) 丹川 修 選
 初 画用紙の外へ飛び出す幼児の絵 松谷大気
 秀 輪の外でとっても楽な息をする 青砥たかこ
 秀 幸せを飾る外から見える窓 北田のりこ
 軸 会ったことがない外から見た私 丹川 修
宿題「耐える」(共選) 宮村典子 選
 初 百均の傘は百円分耐える 大嶋都嗣子
 秀 やみに沈んでいるのはわたくしの地雷 たむらあきこ
 秀 目を閉じて海を見ている耐えている 阪本高士
 軸 九条の背骨毒矢に耐えている 宮村典子
宿題「耐える」(共選) 伊勢星人 選
 初 鏡見て美人美人と唱えてる 小林祥司
 秀 笑ってわらって耐えているのです 植野美津江
 秀 馬の脚で終わる気はない馬の脚 吉崎柳歩
 軸 耐えさせておけばよろしい高齢者 伊勢星人
宿題「自由吟A」 阪本高士 選
 初 Gメンのように降り立つ白子駅 早泉隼人
 秀 人間になつきはじめた改札機 天根夢草
 秀 あじさいの色変わることなく夫婦 山下怜依子
 軸 行間に光と影を遊ばせる 阪本高士
宿題「自由吟B」 橋倉久美子 選
 初 忠実に描いた自画像ほんに美女 金澤市兵衛
 秀 履歴書の特技欄には片想い 玉置和美
 秀 ゴキブリもやっぱり若いのは元気 丹川 修
 軸 泳がせておこうどうでもいい魚 橋倉久美子
特別室

 スポ立国反対                                       清水 信 

 スポーツファンは大概卑しい。サッカー場で「日本人以外入るな」とか「朝鮮人は帰れ」とか、垂れ幕を広げたり、相手国の国旗を燃やしたり、土足で踏みにじったりしている。
 現政権は、東京オリンピック招致に数百億円も投入して成功したので、その後二〇二二年までの長い時間を「スポーツ時間」として、政権維持に使おうという魂胆は許し難い。

 小生は好んで、野球や競馬や相撲のTV放映を見るが、時々はオリンピックのTVや女子ゴルフの番組にも目を通した。ソチ五輪の新聞報道やTV中継は、目に余るものであったが、ソチの会場の入りは、各会場2、3割にすぎなかった。大赤字だったわけだが、その後のウクライナ進攻によって、プーチンの支持率は85%にまで、はね上った。リオの五輪は、更に人気が落ちる予想なので、再びの東京五輪の、海外からの集客、集金は絶望視されている。

 愚民政策として、スポーツが利用されるほど、幼稚なことはないのだ。

 それにしても、ヤクザに近い醜貌の中年男たちが、アイス・スケート場の前面に陣取り、浅田選手のジャンプごとに拍手をしたり「マオちゃん」と叫んでいる姿は、女子ゴルフの試合で、女子選手の一打一打ごとに「オーッ」と叫んでは拍手しているアホな中年男の様子とダブって、まことに醜い。

 国民栄誉賞の高倉健や、死んだ石原裕次郎のように、ヤクザっぽい人間は、それなりの身体表現をしなけらばならぬ。
 女の子をチャン付けで呼ぶな。
 その演技に拍手などするな。
 この世への不満を、全身で示せ。

 ともあれ「マオちゃん」や「まさこさま」などとは言うな。スマップや嵐に集まるジャリたちの真似をするな。それが反体制を旨とするダンディの生き方だろう。

 スポーツを国威発揚に使い、国民の総意結集に使うのは、失政の欺瞞に他ならぬ。外交の敗北でもあろう。
 横綱が三人もモンゴル勢になった国技には、未だに八百長の疑惑が消えないし、スポーツの権威主義、形式主義や、政治利用の実態も、明朗化されていない。
 例えばマラソンが42・195Kという、かつて一度も守られたことのない距離に執着していることや、人種差別が歴然と残っていることなど、改善の意図がないことへの批判があって当り前と思うのだが、どうだろう。

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 国境 』  応募84句
 1 7  人間が地球に線を引きたがる よしひさ
 1 5  国境を越えても同じ月を見る 小出順子
 1 4   国境をまたぎ大きな虹が出る 青砥たかこ
 1 1     国境の近くで変わる風の彩 小出順子
 1 0点     国境がないと不安な世界地図 橋倉久美子
   8  黄泉の国さて国境はあるのかな 竹内そのみ
   少年の夢に国境なんてない 濱山哲也
   国境を越えておしんが愛された 織田広花