目次6月号
巻頭言 「 抑止力」
すずか路
・小休止
・柳論自論
リレー鑑賞
・例会
・例会風景
・没句転生
特別室
・アラレの小部屋
・インターネット句会
・前号印象吟散歩
誌上互選
・ポストイン
・みんなのエッセイ
・各地の大会案内
・編集後記

 


柳歩
柳歩整理

柳歩
鈴木裕子


柳歩
清水信
橋倉久美子

柳歩

 

バックナンバー
22年 5月(197号)
22年 4月(196号)
22年 3月(195号)
22年 2月(194号)
22年 1月(193号)
21年12月(192号)
21年11月(191号)
21年10月(190号)
21年 9月(189号)
21年 8月(188号)
21年 7月(187号)
21年 6月(186号)

21年 5月(185号)
21年 4月(184号)

21年 3月(183号)
21年 2月(182号)
21年 1月(181号)
20年12月(18
号)
20年11月(179号)

20年10月(178号)
20年  9月(177号)
20年  8月(176号)
20年  7月(175号)
20年  6月(174号)
20年  5月(173号)
20年  4月(172号)
20年  3月(171号)

20年  2月(170号)
20年  1月(169号)
以前のバックナンバー









 

巻頭言


 「抑止力」

  日帰り温泉の出湯を目指してドライブしていると、ずいぶん寂しい所に立派な一軒家があったりする。お金持ちそうだし、強盗に狙われないのだろうか、と要らぬ心配をしたりする。

  これがアメリカなら、居間や寝室にライフル銃なんかが備えてあるのだろう。アメリカの強盗は、ほとんど銃を携行しているだろうが、下手に侵入すると反対に射殺されてしまう。つまり、この家の強盗抑止力として、銃は欠かせないのである。

 日本では、法律で銃の所有は禁止されているので、町はずれの一軒家の強盗、あるいは空き巣抑止力は、せいぜい「木刀」か、「猛犬注意」、「監視カメラ作動中」の貼り紙くらいのものである。強盗をする側にまわっても、百均の店で銃を調達するわけにはいかず、DY店で出刃包丁を購入するのが現実的である。出刃包丁に対しては「防犯カメラ」や「猛犬」「金属バット」「絶叫」なども一定の抑止力にはなる。

 動物だって、自分の身は自分で守る権利を持っている。口蹄疫で殺処分される牛たちも、逃走する権利、反抗する権利を持っている。ただ、反撃する術がないだけなのである。
 動物園の動物は、当面、襲われる心配も飢える心配もないが、自分の人生を生きてはいない。

 鳩山首相は、ブレーンもいるだろうし、勉強もされただろうから、思い付きで「普天間の基地は最低でも県外移設」と言い出したのではないだろう。 充分な見通しがあってのことと、沖縄県民でなくても期待する。

 しかし、後になって「沖縄の海兵隊の抑止力が、こんなに重要だとは思わなかった」と弁解されたのには驚かされた。あまりにも軽い。政治家というのはこんなものなのだろうか?

 日本の安全は今の日米安保条約に頼るしかない、というのが前提なら自民党と一緒で、最初からアメリカの言うなりになるしかないではないか?

辞めて済む役なら誰だって出来る 

                                                                  柳歩

 

すずか路より
ご自由にどうぞ立ち読み座り読み 北田のりこ
ワンルーム一人暮らしも悪くない 落合文彦
手を少し添えたら出来た逆上がり 浅井美津子
どの部屋で飲もう一人のティータイム 鈴木裕子
これも運名医の手術受けられる 加藤吉一
認知症の予防 菖蒲湯に入る 長谷川健一
足腰が丈夫なだけでいい老後 竹内由起子
人柄を言うなら己振り返れ 水野 二
「遠野」には祖母の昔があるらしい 竹口みか子
菜種梅雨僕の心は晴れません 瓜生晴男
今年またお茶の新芽を天ぷらに 安田聡子
親展へどきどきどきと封を切る 鍋島香雪
受付に若い娘はいぬクラス会 鈴木章照
おひねりも飛んで見栄切る村歌舞伎 沢越建志
スロービデオ見れば行司の目は確か 山本 宏
味気なくその日が暮れる四人部屋 高柳閑雲
一人居のとなり会わぬと気にかかる 加藤峰子
熱帯魚ながめて癒す母の老い 秋野信子
私にはくれぬチラシが気にかかる 山本喜禄
母に似た手相で母の業を継ぐ 水谷一舟
針生姜ふぞろいなのが私流 加藤けいこ
病床でハイタッチする父が好き 小川のんの
少子化の波で泳がぬこいのぼり 廣瀬まさこ
返信を期待している手紙文 西垣こゆき
生きてるかい年金だけが聞いてくる 松岡ふみお
悔いを持ついのち夜ごとに笛を吹く 坂倉広美
伝わらぬようで何度も書き直す 橋倉久美子
掛け流し以外の湯でも構わない 吉崎柳歩
粘ってるうちにヒットになる打席 青砥たかこ
 

整理・柳歩

リレー鑑賞「すずか路を読む」

    
  196号から                                      鈴木裕子

CMの合間を縫って観るドラマ     山本 喜禄
 
思わず・フフフと笑ってしまった。誰もが同じでしょう、合間を縫ってがうまい表現ですね。

裸まつり神もはだかが好きらしい    水谷 一舟
 
褌ひとつで若者が神輿をかつぐ元気のよい祭り。テレビではよく見るが、実際に見て見たいと思う。きっとパワーをもらえるだろうナ。一舟さんの句には、いつも笑いと若さがあって嬉しい。

腹痛はもしやきのうの非常食      加藤けいこ
 
非常食をチェックしたら、賞味期限切れのクラッカー。入れ替えをして、私も、時々食べますよ。けいこさん、大事に至らなくてよかった、よかった…。

夫は寝たカ二缶あけてワイン飲む    小川のんの
 
ご主人の寝るのを待って一人酒? 時にはそれもいいかもね。ワインが明日の活動力を約束してくれるのでしょう。

少しだけ迷子でいたい時もある     青砥 英規
 
たかこ会長の三人のご子息の内の一人英規さんは、たかこさんのDNAをしっかり受け継いでいるナと思う。いい意味の自由奔放に生きている男性の姿を見る思い。

飲みっぷり夫をしのぐ婿が来る     高橋まゆみ
 
いいですねェ。うちも五人姉妹のうち、酒好きは夫だけとあって、盆、正月など酒豪の父は、夫をいつも心待ちにしていました。懐かしい家族の風景を思い出しました。

値札見るまではうっとりとしたドレス  鈴木 章照
 
私も、マネキンの着ていたジャンパーを、「まあ、素敵」と、うっとりしてしまいましたが、値札見て、一旦帰宅しました。思案の揚げ句、やっぱり欲しくて買ってきました。慎重に買った洋服は、何かしら格別な思いがするものです。

                                  (鈴鹿川柳会会員・鈴鹿市在住)
5月22日(土)例会より
宿題「 水 」 青砥たかこ 選と評
  ライフライン水の代わりにならぬ酒 吉崎柳歩
  水うちで地球の温度ちょっと下げ 竹口みか子
 秀 水に育てられて水に壊される 橋倉久美子
みずみずと唱えて水に流す過去 青砥たかこ
宿題「 送る 」 水野 二選
  荷造りも上手になって子に送る 鈴木裕子
  送っても電話も来ない無礼な子 加藤峰子
 秀 パパと子を送って主婦に待つノルマ 水谷一舟
セントレア見送る人もない帰国 水野 二
宿題「 送る 」 橋倉久美子 選
  時間差で駅まで送る雨の朝 廣瀬まさこ
  本物のビールを他人には送る 吉崎柳歩
 秀 送ってから酒は断ったと聞かされる 青砥たかこ
一粒の涙同封して送る 橋倉久美子
席題「 騒ぐ 」 清記互選 高点句
 6点 騒がしい方についつい歩いてく 小川のんの
 5点 騒がしい人が休んで座が沈む 西垣こゆき
  騒がれた記憶が少しある美貌 吉崎柳歩
  騒いでも始まらないと腹くくる 竹口みか子
  騒がれる時期心得て咲く桜 加藤吉一
  騒ぐほど分が悪くなる口喧嘩 廣瀬まさこ
  やじ馬がやじ馬を呼ぶ事故現場 橋倉久美子
特別室

朋誌清評(3)                                      清水信 

    朋誌とは「仲間の作る雑誌」という意味だ。親しみを感じている雑誌である。川柳の雑誌は『川柳すずか』の他、毎月数誌を送って戴く。詩の雑誌も月に十数誌戴く。隔月刊や季刊もあるので、月によって特定できないのだ。

 短詩形の雑誌にエッセイを連載するのが、私の道楽である。編集者の迷惑も考えず、楽しんでやってきた。
 短歌の雑誌では、角川の『短歌』(東京)の他、『朔行』(長野)や『抒情派』(伊勢)や、戸川晴子の個人誌に連載したし、俳句の雑誌では『菜の花』(四日市)『わらび野』(小俣町)や『口語俳句』(東京)にエッセイを連載してきた。詩の雑誌では、今も『葦』(玉城町)や『詩小説』(同上)に書かせて戴き、『創生全通信』(岐阜)にも断続的に書いている。

 川柳の雑誌では、本誌『川柳すずか』が、最初で最後の体験だから、この連載を非常に喜んでいる。
 元々、小説論義を中心とした文芸評論家の仕事に疑問を抱いており、短詩形文学評に筆を染めないばかりか、まるで関心を示さない連中を軽蔑しているところがあって、こういう連載になっていると思う。

 ともあれ、鈴鹿と亀山と四日市の各川柳会の刊行し続ける月刊誌は、毎号お送り戴いて、非常に楽しみにして、愛読している。
 でも句集となると、青砥さんの『マチエール』以外、この三誌の会員の著書について、全く不案内なので、仲々作家論としてはまとめ難いのである。

 その点、川柳みどり会発行の『緑』(愛知県東浦町)は、時々まとめ発表してくれるので、作者の特徴がつかみ易い。
 566号では、第19回中部川柳大会(4月22日)の選者紹介を兼ねてではあるが、巻頭11人の作家の各欄が、10句プラス自解またはエッセイという形の他、写真や略伝もあるので、たいへん解り易くなっている。

  千葉の安藤亮介は傘寿である。
・傘寿まだ子どもと同じ芋が好き

  名古屋の堀恭子には『掌の檸檬』と『白いノート』という句集があるらしい。
・夫の言い分妻の言い分吊し柿

  鈴鹿の青砥たかこは、人が好きだから川柳が好きなんだという。
・色褪せて来ても私は私です

 東川和子の「伊勢だより」は183回。

                                                               (文芸評論家)

誌上互選より 高点句
前号開票『 残念 』
 10 〆切が過ぎて浮かんできた名句 山本 宏
  9 残念の一言もなく辞表受理 北田のりこ
   8 点 ウエストが少し足りない特価品 浅井美津子
   7   ときめいて来たのになんと休館日 福井悦子
   合併で消える馴染んでいた地名 沢越建志
    毒舌を吐かねばもっとモテるのに 鍋島香雪
    残念な結果もバネにする若さ 廣瀬まさこ