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目次28年6月号 ・巻頭言 「横綱相撲」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論「選句疲れ」 ・没句転生 ・川柳・人と句「私の周りの柳人たち」 ・例会 ・例会風景 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号「すずか路」散歩 ・誌上互選 ・インターネット句会 ・ポストイン ・お便り拝受・その他と ・大会案内 ・編集後記 |
柳歩 柳歩整理 柳歩 柳歩 たかこ たかこ 清水 信さん 久美子 真島久美子さん |
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巻頭言 | |
「横綱相撲」 横綱相撲という言葉は、「実力があって正々堂々と戦って勝つ」ことを言い、相撲以外でも応用されるが、肝心の大相撲では死語になりつつあるようだ。
モンゴル出身の三横綱は、どうしても勝ちたいときは立ち会いに変化も辞さない。圧倒的実力を誇る白鵬でさえ、下位の力士を相手に張り手は繰り出すし、エルボー気味のカチ上げを食らわす。ノックアウトを狙ったような打撃に近い技は、本来反則なのだが、今の白鵬には理事長はじめ誰も文句をつけない。土俵外のだめ押しなど、逆に弁護しているようにも思える。
文芸川柳を目指した現代川柳も、いつのまにやら競吟(ゲーム)全盛の「課題吟川柳」にどっぷり浸かっている。ゲームだから結果がすべてである。好成績を挙げることのみが目標になれば川柳作家としての美学も矜持も失われる。課題吟や競吟を否定するのではない。文芸川柳としての歯止めを掛けておきたいと思うのである。 |
すずか路より |
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川柳 人と句51「私の周りの柳人たち」 たかこ |
女子会の誘い嫁から来たメール
まだ決めてないママチャリを止める歳 訳もなく今日はため息ばかりして 子らが来る今日は丸ごと買う西瓜 年齢を言うと笑って許される
(ここ3年以内のすずか路より) |
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特別室 |
難破船 清水 信
編集は埼玉県新座市の松本芳味、印刷は大阪市天王寺区舟橋町の文芸山水社、発行所は高槻市竹の内町の河野春三、その昭和48年の6月号を取上げるのだから、時代錯誤も甚しいと言わねばならぬ。
「川柳は詩の化け物である。あんな簡単な形式で、音の数が17だけで、あれほど自在に、通俗に、おまけに皮肉なおかしみまで持たせて、複雑な人生の、時として含蓄の深い機微まで詠じた詩が」世界のどこにあったろうと、西原柳雨は書いている。
いずれも暗いテーマを追っている。当節の仲良し川柳作家たちには多分不評だろう。ダーク・ストーリイに目を注ぐことを避けて通りたいと思っている人には、迷惑な素材かも知れない。しかし、ダーク・サイドは依然として、この世に存在するのである。バカになって、笑って生きろという掛け声に賛成する文学者など、どこにもいない。
小市民的生活を詠むだけが、川柳ではあるまい。「拒絶の文学」の生涯を生きることも、一つの文学的宿命ではないのか。非日常が定着している詩にも、存在理由はあるのだ。難解が悪いか。 ・難破船が出てゆく丘のひそかな愛撫 (文芸評論家) |
誌上互選より 高点句(一人5句投票) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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