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目次11月号 ・巻頭言 「 課題 」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・没句転生 ・リレー鑑賞 ・ひとくぎり ・例会 ・例会風景 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号印象吟散歩 ・誌上互選 ・ポストイン ・インターネット句会 ・みんなのエッセイ・その他 ・大会案内 ・編集後記
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たかこ 柳歩整理 柳歩 柳歩 松本諭二 たかこ 清水 信 久美子 柳歩 |
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巻頭言 | |
課題
川柳はおおまかに言うと「自由吟」と「課題吟」がある。 個人的には、どちらかといえばプラスよりマイナス思考の題が好きである。なぜなら「楽しい」とか「明るい」といった題の場合深い句が作りにくい気がするし、また披講されている句を聞いても、似たり寄ったりの句に思えてくるからだ。へそまがりなのだろうか、「苦しい」とか「暗い」なら張り合いよく作れるのではないかと思ってしまうのだ。
「課題吟」も、すべて自分のことを詠まなくてはいけないのかという質問があった。 秋が深まりつつあるこれから、川柳大会が目白押しである。「課題」に向き合い、自分らしい句を詠みたいものである。 たかこ |
すずか路より |
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リレー鑑賞「すずか路を読む」 |
発泡酒よりもビールの方が良い 瓜生 晴男
着飾ってアピールしてる毒キノコ 小出 順子
監督の迷いチャンスがフイになる 沢越 建志
よく売れていると言われて止めにする 山本 宏
潮時はまた来る次もきっと来る 高柳 閑雲
秋告げる雨に私も生きかえる 加藤けいこ
使いこみ遺言状を書き換える 石谷ゆめこ
三重県の標識肩が軽くなる 西垣こゆき
この世よりにぎやか天国の句会 橋倉久美子
非常時に役立ちそうな山道具 吉崎 柳歩
やることはあるが眠たいときは寝る 青砥たかこ (鈴鹿川柳会会員・四日市市在住) |
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特別室 |
矢須岡信『数え歌』
なき虫信は矢須岡信。
本誌213号(9月刊)で、矢須岡信の死を知って、驚いた。県の芸文協の仕事や文学賞のイベントで、何度もお会いしたことがあり、涙を流すのも三度ほど見たので、懐しくも心痛んだ。
・棺に寝てからみんな気付くのだと思う 青砥さんはまた、短詩型部門を列挙するのに、「詩、短歌、俳句、川柳」という風に、いつも川柳が一番あとになることに怒って、「なんでや」と吼えていた矢須岡のことに触れている。自分にしても、投稿欄はあるにしても、新聞の月評欄で「川柳」が除外されていることには憤りを覚えるが吼えるほどではない。長ものでも概ね、自分の従う批評は、いつも最下位にあるからだ。 ところで、『瓶の蓋』評において、自分が抽象論をしたことで、当の作家である吉崎柳歩さんから、その前号で批判をされていて、びっくりした。「没句転生」や「柳論自論」の読みちがえらしくて、恐縮した。 青砥さんの「脳動脈瘤の記録」も、まさに即時具体の切実さに満ちた記録であるが、具体を文章に変えた場合に、すでに抽象作用が働いて、我々は見ているのだ。自ら他の側面や性質を排除しなければ(捨象という)事物あるいは表象の必要な性質や側面を引き出して把握したり、描いたりすることは出来ないのだ、という解釈である。 北田のりこが「瓶の蓋」の一句を使うミニ小説に挑戦しているが、これも具体と抽象の交流がないと、適わぬ作業だと考えられる。 (文芸評論家) |
誌上互選より 高点句 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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