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目次12月号 ・巻頭言 「 業の肯定 」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・没句転生 ・リレー鑑賞 ・ひとくぎり ・例会 ・例会風景 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号印象吟散歩 ・誌上互選 ・ポストイン ・インターネット句会 ・みんなのエッセイ・その他 ・大会案内 ・編集後記
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柳歩 柳歩整理 柳歩 柳歩 板橋柳子 たかこ 清水 信 久美子 たかこ |
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巻頭言 | |
業の肯定
氏の著作『現代落語論』では、「人間の業とはなにか。(生まれた以上生きなければならない、その長い人生の〜柳歩意訳)そのあいだの退屈を紛らわせるために余計なことをしようとする。つまり好奇心。この始末が悪いものを私は『業』と詠っている」とある。 『川柳展望』の天根夢草主宰は、その113号で「川柳は『川柳味』がなくては川柳ではない。『川柳味』とは何なのか。川柳における川柳らしさ、川柳の味。それは滑稽(ユーモア)、軽味、喜、怒、哀、楽、爽快感、不潔感、清潔感、劣等感、その他もろもろの感じ」と述べられている。ここで言う『川柳味』こそが『人間の業』ではないだろうか? 人間の『業』を発見し表現する。これが私たちの川柳である。 「誹風柳多留」に見る古川柳は伝統川柳とも呼ばれ、主として他人の事を詠む客観詩であった。現代川柳も客観詩ではあるが、自分をも積極的に詠む。自分を客観視して、自分の本性を詠む。 人間味あふれる川柳を詠もう。 柳歩 |
すずか路より |
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リレー鑑賞「すずか路を読む」 |
生きて行くための歩幅を確かめる 沢越 建志
焙り出すように男の過去の傷 高柳 閑雲
先はあるいつかいつかと朱を添える 山添 幸子
愛ですか婆さまと会話すれ違う 水谷 一舟
貼り薬寄る年波にペタペタと 岩谷佳菜子
将来の事は語らぬ男の手 坂倉 広美
がんばれの次の言葉が出てこない 長谷川健一
連れ合いに当たり外れもありまして 鍋島 香雪
関係者だけにお知らせする花火 吉崎 柳歩 (とうかい柳壇川柳会会長・愛知県在住) |
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特別室 |
たかい本 綿谷雪の『川柳妖異譚』 いつも可愛い気な阪本きりりが、にくたらしいことを『川柳四日市』に書いていた。川柳作家たちがエッセイ執筆を頼まれると、その応待の姿勢がワンパターンでイヤになるというのだ。
@先ず身辺雑記。子供の頃の思い出とか、犬猫などのペットのこととか、自分や家族の病気のことを書きたがる。A友だちや仲間の川柳作品について、無難な感想を書く。B最近読んだ本について無益無害の感想を書く。
本欄「特別室」の百回を目指して、書評を10篇ほど書こうとした自分は、その正論に衝撃を受けて、暫時エッセイの本義について考え込んでしまった。
今回、紹介するのは、綿谷雪の『絵入川柳妖異譚』(昭和44年、近世風俗研究会刊)という本である。いま、古本屋で8万円の値段がついていて、本誌読者のなかでも、持っている人は絶無だろう。
内容は、と言えば、江戸川柳の内からオバケ・妖怪・怪談を扱ったものだけを収集して、絵入りで、その講釈を試みたもの。例えば、
これらの怪作の鑑賞の仕方を教えているのだが、当世柳人には、わけがわからぬであろう。 (文芸評論家) |
誌上互選より 高点句 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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