目次24年1月号
巻頭言 「 辰年によせて」
すずか路
・小休止
・柳論自論
リレー鑑賞
・ひとくぎり
・例会
・例会風景
・没句転生
・インターネット句会
特別室
・アラレの小部屋
・前号印象吟散歩
誌上互選
・ポストイン
・みんなのエッセイ・その他
・大会案内
・年賀広告
・編集後記

 


たかこ
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巻頭言

 辰年によせて
 
 あけましておめでとうございます。日本列島は何事も無かったように新年になりましたが、まだまだ傷跡の生々しいところもあると聞きます。復興へ新たなる気持ちでお祈りしたいと思います。

さて今年は「辰年」
干支の中で唯一の架空の生き物であり神の使いとしてあがめられている十二支、辰年の性格といえば闘争心が強い星として知られています。非常に強い競争心を持っており、どこまでも闘いつづけようとします。

義侠心があるため、目下の人の面倒をよく見るタイプです。
 その結果、目下の人に頼られる傾向にあります。言葉の力で闘争するため、言葉の剣で人を屈伏させてしまうことになります。多くの敵をつくってしまいます。
 陽気で傲慢なタイプの人が多く、能力を過信する傾向にあるため、危機管理が不十分となりやすく、感情をあらわにするため、サービス業には向きません。お客が離れていくことになります。
 率直に意見を述べるため、人の感情を害することになり、争いが発生するようです。
 悪いことばかりではなく、辰年の長所は「変化を厭わない」という点です。より良い方法を発見すると、古い習慣に固執することなく自分自身や環境を
変えることができます。また、辰年は大きなイベントや新しいことが大好きなのです。(以上ヤフー参照)

なんとなく川柳作家に向いていると思えませんか?

 今年頂いた年賀状、さまざまな「竜」の絵がとてもカラフルで楽しめたと言えます。
しかし、
十二支は古来、年月の順序や方角を示すもので「辰」と「竜」とは関係がなかったようです。
 天に向かう龍も、海に住む竜の落とし子もこじつけだったのでしょうか。いずれにしましてもいい一年でありますように。

                                                            たかこ            

 

すずか路より
明けぬ四時厭な散歩を急かすハチ 松岡ふみお
次回予告はもう来年になる師走 坂倉広美
大好きな人に向かって書いている 橋倉久美子
伏線をちらちら見せているドラマ 北田のりこ
一日に三回磨いても虫歯 落合文彦
入園料五人いたので安くなり 鈴木裕子
注射する前にA型うつされる 加藤吉一
アルバムを眺めて終わる大掃除 長谷川健一
年末のチラシ忙しくゴミの中 水野 二
暴れぬか地下でくすぶるウランの火 村 六草
古里へ文面を練る年賀状 竹口みか子
賀状書く苦手な筆に四苦八苦 瓜生晴男
のし袋増えるばかりの年の暮れ 安田聡子
手抜きでも食べる回数減らせない 芦田敬子
買い物は自転車がよい暮れの街 小嶋征次
社説から拾い読みして得た知識 鍋島香雪
神様のプレゼントです我が夫 小出順子
散歩中犬が知人にしてくれる 鈴木章照
外出へ復唱させる但し書き 沢越建志
エスカルゴとワインでパリっ子の気分 山本 宏
貴方とは距離が縮まぬ訳がある 高柳閑雲
豪邸に招かれ早く帰りたい 加藤峰子
もつれてはがんじがらめになる絆 堤 伴久
最終章の父とゆっくり向かい合う 山添幸子
食べ放題味を忘れた舌になる 水谷一舟
大口を開けて笑えるクラス会 小川のんの
混雑は今年も覚悟初詣で 石谷ゆめこ
まあええか片目つむって大そうじ 岩谷佳菜子
大阪に行くと大阪弁になる 松本諭二
くだらない特番も良し大晦日 青砥英規
忘年会忙しくても休まない 西垣こゆき
いつ死んでも幸せだったとは言える 吉崎柳歩
気づかないふりをするのも草臥れる 青砥たかこ
 

整理・柳歩

リレー鑑賞「すずか路を読む」


 215号から                                    岩田 明子

喋られて時間のかかる美容室           加藤 峰子
 
美容師はお愛想のつもりであれこれ話しかけてくれるのだろうが、こちらも忙しい合間を縫って来ている。頼むから黙ってやってね。 

打開策ここは私が折れておく           水谷 一舟
 結末が見えてこない争いにもうウンザリだ。ここはひとつ大人になって負けておこう。

断捨離ともったいないが綱を引く         加藤けいこ
 綱引きに負けてやっぱり元の場所に落ちつく。もったいない世代には捨てることへの罪悪感もある。初めの意気込みはどこへやら。

皺取りのローラー届き喜べず           石谷ゆめこ
 
期待いっぱいで注文してみたけれど現物を見て侘しくなった。こんな物でツルツルお肌になれるのかなあ。

宿題をぎりぎりに出す癖がある          西垣こゆき
 
癖というより性格のようだ。わかっているのにぎりぎりになって作句している。それが快感につながっているみたい。

昼食は少し足りないほどでよい          橋倉久美子
 満腹のあまり眠くなるのも困るけれど、午後からのエネルギー源となる昼食はたっぷり取った方がいいように思うけど。

レジ通るまでは私のものでない          北田のりこ
 籠に入れた品物を通路に置いたまま他の売り場に行って戻っても何も減ってはいない。それはそうだ。まだ店の物なのだから。

修理屋の無料に少し気が咎め           水野  二
 それなりの技術も時間も費やしたのに無料とは、申しわけないけれどやはり嬉しい。

無理やりに手帳の余白埋める夜          芦田 敬子
 片付けでも何でもいい。予定を沢山作っておくことは明日への張合いにつながる。買物も散歩もみんな手帳に書きとめておこう。

宅急便のサインは下手でかまわない        吉崎 柳歩
 寸秒を争うような動作にこっちもつられてせかせかサインしてしまう。時は金なりか。

思い出すうちにくやしさ倍になる         青砥たかこ
 忘れようとすればするほど思い出す。そんな時は気のすむまでくやしがればいい。

                                    (堺市在住 堺番傘川柳会会員)
12月24日(土)例会より
宿題   「 大きい 」 吉崎柳歩 選と評
  憚らず窓際でする大欠伸 小嶋征次
  クレーターみたい奥歯を抜いた痕 日野 愿
 秀 大きすぎる体を自慢するカボチャ 橋倉久美子
ドームでも飼育できない昇り龍 吉崎柳歩
宿題 共選「 願う 」 橋倉久美子 選
  振り向いてくれと願っている別れ 日野 愿
  春が来ることだけ願う春の花 青砥たかこ
 秀 魚好きの人に食べられたい魚 北田のりこ
たったひとつの願いも神に無視される 橋倉久美子
宿題 共選「 願う 」 日野 愿 選 
  ピカピカのお肌へ叩く化粧水 岩田明子
  百円ショップに行けば願いがかないそう 橋倉久美子
 秀 魚好きの人に食べられたい魚 北田のりこ
振り向いてくれと願っている別れ 日野 愿
席題 互選「 飲む 」 高点句
10点 結局は茶飲み友達だった彼 吉崎柳歩
  資源ゴミ隣は飲める人らしい 山本 宏
  飲んだ気がしないコップが小さくて 橋倉久美子
 8点 末期にはストローで酒飲んでやる 日野 愿
 5点 一杯で十年来の友になり 鈴木章照
  正座して飲んできれいに酔っている 橋倉久美子
特別室

詩人 吉行エイスケ
                                              清水 信

  吉行エイスケは一九〇六年に岡山に生まれた詩人であり、小説家である。一九四〇年に他界したので、しかも、ごくわずかの期間、文学に本腰を入れただけで、二十代の後半からは、文学を捨てて株屋になったので、その文学的業績はごく少い。
 それをついて、今は知る人も少なく、TVドラマになったりしたので、未亡人のあぐりや、息子の吉行淳之介や、娘の吉行理恵、吉行和子の方が、ずっと有名になっている。

 岡山在の青年にしては、洒落た早熟な男で、逆に東京から先端を行く芸術家たちを岡山へ呼んでは、イベントをしたり、岡山の市内を芸者と共に人力車に乗ってパレードをしたりしている。
 岡山一中を退学させられ、17歳で結婚して上京するや、ダダイズムという新しい文学運動に参画し、詩や小説をどんどん発表し出した。
 自分としては新宿のムーラン・ルージュに通い詰めた学生時代があって、懐しいが、その軽演劇の小屋の創立に、吉行エイスケが尽力したことを知って、うれしく思っているのだ。

 のちに吉行淳之介が『吉行エイスケ作品集』をまとめて、その中に父の詩篇も収めている。

  初恋

りんご畑と思えども
そは真赤なお倉の中
六つになって手足がうごき
太陽沈めば女子さそう

その子パラダイスのほほをして
四つ手を宙にうつろかし
はずかしかくしどころおおいめし
ざくらすべらし笑いたもう

ある時は小山の柿の下
ずくしを塗って裸ですりあえば
それは恥しくなりまして
顔あかくして一層強くしめました

 17歳の作である。ちょっと意味のわからぬところもあるが、岡山弁がナマで使われているからであろう。
 吉行エイスケの残した著作は、
(1)短篇集『新種族ノラ』
(2)短篇集『女百貨店』
(3)紀行『新しい上海のプライベート』

 の三冊だけであるが、こういう前衛的作家を抱きこめないところに、日本文壇のアホらしさがあった。
 ダダイズムという文学運動が大きなうねりにならなかったことが、勿論その大きな原因ではあるが、淳之介の編集した『吉行エイスケ作品集』と『詩とダダと私と』の二著は、ひとりの天才と、失われた文学運動の、貴重な遺産と見るべきだろう。

                                                                                                                  (文芸評論家)

誌上互選より 高点句
前号開票『 隠す』
  8 ポスターの美人で隠す壁のシミ 山本 宏
   匿名の善意が温い灯をともす 沢越建志
  7 ばあちゃんの靴を隠して帰さない 加藤峰子
  隠しごとのひとつや二つ持ち夫婦 水谷一舟
  匿名の投書お隣かも知れぬ 関本かつ子
  6 隠しても全てを知っている鏡 岩田眞知子
  5 隠しても言葉の端に出る本音 北田のりこ
  スリッパで踏んで隠した綿埃 西垣こゆき
  隠すから覗いてみたくなる尻尾 前田須美代
  謄本に載っているので隠せない 吉崎柳歩