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前月入選句発表 お題「点火」応募2751 41人
 




































 

加藤当白 選(入選39
句)          
印は両方の選者から入選した句 
 
    冗談が頑固頭に火をつける 大澤 葵
    凶弾がカルト問題再点火 原 洋一
    火がつかぬままに終わっていく選挙 橋倉久美子
    蝋燭を灯し亡夫へ良い知らせ 大澤 葵
   *点火するオール電化の冷たい火 よーこ
    固唾呑むカウントゼロの発射台 野平 光太郎
    点火するスイッチ握る独裁者 福多郎
    火が着いてホッとしている聖火台 甲斐良一
    失敗を許してくれぬ聖火台 小林祥司
    国民の怒りにわざと火を点ける 石川柳寿
    点火した怒りかき消す酒二杯 汐海 岬
   *落ち込んだ夜はお酒で火を点す 新家完司
    点火せぬように会話も及び腰 荘子 隆
    チチチチッと昭和の音のガスコンロ 浩子
   *幸運なヒットが点火した打線 吉崎柳歩
    優しさが僕の心に火を点けた 横山閲治郎
    せっかちに欲しい長めの導火線 隼人
   *定年後点火予定の導火線 古都
   *一本のマッチが秘めている狂気 橋倉久美子
    荼毘にふす点火ボタンに無常観 満月庵
    挑発に乗って発火の自己嫌悪 石森あやみ
    封を切るそれから点火までの距離 柴田比呂志
      *晩学へ点火したのは好奇心 吉崎柳歩
    点火したらしいぱらぱら彼岸花 ムギ
    粥三匙母の命を点火する 平井美智子
   *線香に火をつけ静かなる対話 澁谷さくら
    炎上に油を注ぐ捨て科白 信天翁
    点火したのはあなた 勝手に消すなんて 青砥たかこ
    大花火あなたのハートにも点火 伶音
   *火を点けたまま置き去りにしないでよ 大島 ともこ
    まだ生きる二段ロケット点火せよ 石川柳寿
    点火まで持ちこたえたいマッチ棒 西山竹里
    火をつけたねずみ花火が追ってくる ちゃこ
   *匿名という長い柄の点火棒 冬子
    火おこしの人知が脅威となる今 満月庵
    発火点だったのですね手をつなぐ まみどり
秀3*点火するまでは隠れている花火 西岡ゆかり
秀2  草臥れた二の矢に点火する蛍 葱坊主
秀1  始まりに大きな意思はない点火 カラリ

評      生まれたばかりの火は、のちにどれほど大きくなるのかはわかっていない。だがそこ
   に燃えるものがある限り際限を知らずに炎上していく。一世を風靡する天才とて同じこと。

軸  *自己犠牲マッチに課せられた使命           加藤当白
 

 








































 

青砥たかこ選(入選39句)
 

    仏壇の定位置にあるマッチ箱 岡本恵
    捜査気になる札幌の点火台 森清泰範
    湿ってる君に点火を繰り返す こみち
    点火したところは誰も見ぬ花火 糀谷和郎
   *幸運なヒットが点火した打線 吉崎柳歩
    火中の栗なんて食べないヒクイドリ 雪上牡丹餅
    怪談話は蝋燭に火をつけてから 春日綾乃
    何気ないその一言が火の種に ちゃこ
   *落ち込んだ夜はお酒で火を点す 新家完司
    主夫ですがコンロに点火禁じられ 前川奬
    一喝がやる気にさせた起爆剤 内田政竜
    君の手が胸の蛍に引火する 水谷裕子
   *点火するまでは隠れている花火 西岡ゆかり
    すぐ点火する 脂っ気抜けた恋 八木五十八
    節ガスに点火ができず冷茶漬け せきぼー
    ライバルを褒めて負けん気点火させ 竹中正幸
    自動化でマッチ絶滅危惧種入り 船岡五郎
    言うまいぞきっと喧嘩になるセリフ 春日綾乃
    火を点けたこと抜け落ちて長電話 こやまひろこ
    いま点火ぎっくり腰が炸裂す 古都
    この歳になるとなかなか火がつかず こみち
    人類の夢をロケット乗せ点火 福多郎
    年明けにようやく点火受験生 山登爺
   *一本のマッチが秘めている狂気 橋倉久美子
   *自己犠牲マッチに課せられた使命 加藤 当白
   *匿名という長い柄の点火棒 冬子
   *線香に火をつけ静かなる対話 澁谷さくら
   *定年後点火予定の導火線 古都
    反省後やる気スイッチ再点火 あやちゃん
   *火を点けたまま置き去りにしないでよ 大島 ともこ
    キャンドルに点火独りの誕生日 颯爽
   *晩学へ点火したのは好奇心 吉崎柳歩
    点火した手筒花火を身に添わせ 田鎖 市子
    点火して燃え尽き今はただひとり アゲハ
    火おこしの技自動点火に笑われる 芦田敬子
    この風とよんだブームの火付け役 せきぼー
秀3  戦争が点火世界の物価高 加藤吉一
秀2*点火するオール電化の冷たい火 よーこ
秀1  土手いっぱい点火している彼岸花 安井紀代子

評     ある日突然一斉に火が付いたように咲く彼岸花。まるで誰かが点火したようだと
    言いたげなところに共鳴した。
      IHに慣れてマッチは遠ざける            青砥たかこ