目次06年3月号 ・表紙裏 第20回大会案内 ・巻頭言 「フルネームの呼名」 久美子 ・すずか路 久美子・柳歩整理 ・小休止 ゆかり・りゑ ・川柳つれづれ 柳歩 ・人と句[孤独と空間」八甲田さ ゆりを読んで たかこ ・例会 ・例会風景 たかこ ・没句転生 柳歩 ・アラレの小部屋 久美子 ・前号「すずか路」散歩 梶井良二 さん ・誌上互選 ・インターネット句会 ・お便り拝受・あしあと ・大会案内など ・編集後記
「フルネームの呼名」
橋本征一路さんにこんな楽屋句がある。 恥ずかしいルールフルネームの呼名
私が川柳の句会や大会に出席し始めた二十年ほど前は、まだ下の名前だけの呼名が多かったように思う。 たとえば津市民大会で、「呼名は下の名前でお願いします。ただし、今日はタカコさんが二名、エミコさんは三名いらっしゃいますので、タカコさんとエミコさんは、フルネームでお願いします」と司会者が言われたのをよく覚えている。 ところが間もなく、「呼名はフルネームで」という大会が多くなってきた。現在ではこれが一般的だと思う。小さな句会(例会)では顔ぶれも決まっていて下の名前だけでも通じるが、たとえ例会でも参加者が多く「お客様」もいる場合、まして遠方からの参加者もいる大会では、全員平等にフルネームで呼名した方が、主催者(呼名・記名係)にも参加者にも親切だということなのかもしれない。 またその頃から、「呼名は下の名前だけでも、フルネームでもかまいません」という大会も出始めた。そのころ出席したある大会(大きな大会だったと思うが、具体的には覚えていない)でも、「どちらでも」ということだったので、駆け出しの私は呼名の機会もそうないだろうと、張り切ってフルネームで呼名していた。 ところが、その日に限って割とよく入選したのだと思う。途中休憩のとき、近くに座っていた初対面の紳士が、「あなたは若いだけでも目立つのに、大きな声でフルネームの呼名を何度もしていると。生意気に感じる人もいる。もうちょっと控えめに、下の名前だけで呼名した方がよい」とアドバイス(?)してくれた。 なるほどそういうこともあるかと、休憩後は下の名前だけで、声も少し抑えて呼名するようにした記憶がある。ところで冒頭の句だが、参加者としてフルネームで呼名するのが恥ずかしいのか(そういえば征一路さんは、少々めんどくさそうな声で「せーいちろ」と呼名していた)、それともそんなルールにした主催者を恥ずかしいと言っているのか、またどちらにしてもなぜ「恥ずかしい」のか、私にはよくわからない。征一路さんに尋ねることはもはやかなわないので、ご存知の方がいたら教えてもらいたいと思っている。 久美子
菜の花も慌てて咲いた菜種梅雨
整理・柳歩