目次24年7月号
巻頭言 「第10回大会を終えて」
すずか路
・小休止
・柳論自論
川柳・人と句「 橋本征一路さん」
・大会
・大会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・みんなのエッセイ・その他
・大会案内
・暑中広告
・編集後記

 


たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ


清水 信
久美子
丸山 進さん

 
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巻頭言

 第10回大会を終えて

 第十回大会も無事済ませることが出来た。これもご参加くださった皆さん、貴重な誌面に大会案内を掲載してくださった各吟社様、そして早朝より運営に際し、惜しみなく骨折りくださったスタッフの皆さんのおかげである。本当に感謝して止まない。
 十回までの道のりは、長かったようであっという間だった。

 第一回は無我夢中
 第三回は、ことわざどおり石の上にも三年で感無量
 第七回は、ここまでくれば上出来。いつ止めても納得できるし、してもらえるだろうと思った、小さな達成感。
 そして第十回。これはもう本当に通過点と言うにはあまりに大きな関所だった。

特に、二十一年と二十三年に二回も大きな手術入院をした私には、夢のような数字となった。柳歩さんを始め、家族、会員・誌友の皆さんにご心配をかけた。
 現在、ごく普通の生活を送れる身となっては、今後は、やれる間は逃げてはいけない強く思うようになった。
 十回連続で来ていただいた方に、心ばかりのお礼をさせていただいた。何の見返りも期待せず、ただただ応援してくださったことを忘れてはいけない。
 そして今回初めて参加くださった、二十四名の中に、尊敬してやまない、大木俊秀氏がおられた。神様にご褒美をいただいた気分だった。

 十回の次は突然飛ぶが、二十回である。これからの十年間は、川柳界においても、少しずつ形が変っていくのではないかと思える。鈴鹿川柳会も、十一回からはかなり、リニューアルするつもりだから、何が起こるかわからないのである。
 二十回にもなれば、「会長」もバトンタッチできることだろう。
 小さな会の小さな物語、まだまだ続きます、乞うご期待。

                                                            たかこ            

 

すずか路より
年老いて達者なとこは口ばかり 岩谷佳菜子
父の日に父のない子をふと思う 加藤けいこ
南の国はみんな暑いと思ってた 松本諭二
座るのじゃなかった眠気押し寄せる 西垣こゆき
品のいい扇子を父の日に貰う 松岡ふみお
ゴミにして捨てる重大な決意 坂倉広美
意見交換自慢話を聞かされる 橋倉久美子
たおやかに本音隠した草書体 北田のりこ
形だけ整えている委任状 落合文彦
こんにちは笑顔に出合う散歩道 鈴木裕子
未だ脈があるのか頬を叩かれる 加藤吉一
病とは生きてる証し 言い聞かす 長谷川健一
下痢腹へ躊躇はしない正露丸 水野 二
遊んでる脳細胞を働かす 竹口みか子
父の日は娘や孫が揃い踏み 瓜生晴男
朝顔のつるに自由をあげましょう 安田聡子
食卓を囲んで家族丸くなり 芦田敬子
笹飾り孫の短冊先ず探す 小嶋征次
台本があるとすらすら喋れない 鍋島香雪
長靴を履くと恋しい水たまり 小出順子
肩書きが取れたら肩こりも取れた 鈴木章照
前向きの夢だゆっくり楽しもう 沢越建志
ドラえもんのドアふるさとに置いてきた 青砥和子
アラームの音も生きてる証です 神野優子
遠慮しなくなっておばさんらしくなる 山本 宏
マンションが増えて砂漠のような街 高柳閑雲
芸術の都はスリの技も冴え 川喜多正道
体力はあるか誘いの多い週 加藤峰子
おかえりと生家の簾揺れている 青砥英規
名馬でもおのれの尻は叩くまい 堤 伴久
切符一枚女の旅に夢がある 水谷一舟
他人のかご見て考えるお夕食 小川のんの
ウォーキング体重計と睨めっこ 石谷ゆめこ
見直しの時間はあるが見直さず 吉崎柳歩
何を飲んだかとってもハイになりました 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句5「橋本征一路さん」                                                                                      たかこ

辞められる方が死なれるより惜しい
学校を出ていないのでよく分かる
鏡台の横のアイロンではどうか
ユニークと英語では言う変わり者

外で脱ぐことがあるのでスーツに名
美人の横の席に美人は座らない
雨ならば出席できるなどと言う
傷ついているので安く売れません
好きでない人とは長続きができる

金にならぬことに使っているお金
エスカレーターの一歩も難しい角度
妻には過ぎた僕だと思うときがある
ネクタイを紐だと思わないように

こんな便りにこんなに美しい切手
何処にいるのかと思ったら病院
天才の妻だと妻は思わない
夕陽いちまい買いポケットが空になる
鯛の骨が喉に刺さったことにする

切りすぎた爪が遅れてのびている
心にベルトしている必ずという字
分からないことは聞いても分からない
瓶の口よりは大きい瓶の蓋

 

6月24日(日)大会より
事前投句 「 座る 」 橋倉久美子 選
  蓮華座へ座る相手は決めてある 小寺竜之介
  電気椅子よりは落ち着く歯科の椅子 吉崎柳歩
 秀 公園の鳩にベンチを譲られる 橋本征一路
ちゃんと座っているのが来賓の仕事 橋倉久美子
席題  「  駅  」 丸山  進 選
  駅長は猫やうさぎで良いらしい 松岡ふみお
  捕虜だった父に初めて逢った駅 加藤吉一
 秀 急行もあなたも駅に止まらない 伊勢星人
駅裏に変装グッズ隠してる 丸山 進
宿題 「さらさら」 東川 和子 選
  さらさらになるまで陰干しにされる 橋倉久美子
  春の小川へつなげるための溝掃除 橋本征一路
 秀 軽い男だった茶漬けにして流す 鈴木順子
癌という字をさらさらと書いている 東川和子
宿題 「 ピンチ 」 大野たけお 選
  ドンブリの縁に僅かな復興費 浅利猪一郎
  遊眠剤が効きすぎたのか深い森 宮村典子
 秀 SOS私の足で立てません 水谷一舟
ピンチ今過ぎて残った心地好さ 大野たけお
宿題 「 裏 」 小川 加代 選
  欲捨てた日からやさしい足の裏 浜野みさえ
  裏にしてみても変わらぬのは私 廣田千恵子
 秀    (暗合句につき辞退)  
どんな時も支えてくれた足の裏 小川加代
宿題 「 閉じる 」 浅利猪一郎 選
  しめらないよう笑顔のまま閉じる 大嶋都嗣子
  抜け駆けをせぬよう閉じてある扉 加藤吉一
 秀 目を閉じていればお骨にしてくれる 吉崎柳歩
口閉じてみよう利口に見えるかも 浅利猪一郎
宿題 「物足りないこと(読み込み不可)」 岩田 明子 選 
  携帯の絵文字で届くラブレター 芦田敬子
  大皿にほんのチョッピリあるキャビア 鍋島香雪
 秀 中締めをされて飲めなくなった酒 天根夢草
横道にそれぬ講義でつまらない 岩田明子
宿題 「 自由吟 」 天根 夢草 選
  豆腐の中の豆腐めざしている豆腐 三村 舞
  毎日洗う味噌汁を作る鍋 寺川弘一
 秀 散骨はしないあなたの横で寝る 水野奈江子
味方でも耳のかたちはみな違う 天根夢草
特別室

歌人・佐佐木幸綱
                                              清水 信

『現代俳句』531号(東京)には、第48回現代俳句協会全国大会に招かれた歌人・佐佐木幸綱の記念講演の速記録が掲載されている。俳句の会で歌人が話をするのだから演題「短歌と俳句」の通り、俳句に関わる話題を中心とするような心配りをしている。それが非常に良い(会場は東天紅上野店)。
 佐佐木は先ず、会場を埋める俳句修行者にも増して、偉い俳人との縁を語り始める。

 (1)水原秋櫻子の場合=産婦人科医としての彼の手で、母が世話になり、自分がこの世に産まれたこと。
(2)中村草田男の場合=成蹊中学と高校に学んだが、そこの国語の先生が中村に文学のイロハを教えられた。
(3)高柳重信の場合=大学時代、一年余 前衛文芸に憧れ、高柳家に通って、薫陶を受けた。

 こういう俳句の三傑との縁を語って、俳句と短歌の道の交錯を語り、さらに最近、金子兜太との対談集を出したことを話す。文芸として通底することは多いが、あたかも将棋と碁のちがいみたいで、俳句人口は一千万単位だが、短歌人口は百万単位である。こういう会場の雰囲気がまるで違う。
 俳句は明るくて、短歌の会は湿っぽい。小説の会は、もっと暗くて、陰々滅々といった状況である。出来れば、文芸各ジャンルの交流が必要だろうと、佐佐木は希望を述べている。
 更に実作者として、俳句から学ぶべきことを佐佐木は掲げている。

 俳句の切れ字などの技法は、そのまま短歌には使えぬものの、その精神は大いに利用価値はありそうだ。
 高柳は俳句はポインターだと説いた。川柳もそうかもしれない。「ここだ!」とポイントすることが大事。ねらいが一番。しかし短歌はセットして、その中に獲物を追い込んでいく手法で。提示派にしろ叙述派にしろ、追い込みが必要、そこで動詞の効果が問われるという。

 動詞の数を問うことに次いで、佐佐木はオノマトペの効用について述べる。小説では、その多用はきらわれるが、短詩形の場合は、描写の煩雑さを避けるためにも、かなり効果的である。特に新興俳句の仲間は、その使用例で、お互い影響し合ったり、真似したりしている傾向が見られるという。こういう境界を超えた話題が仲々良い。

▼東京都千代田区外神田6‐5‐4    偕楽ビル7F現代俳句協会

                                                                                                                  (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 効 く 』  応募82句
  9 効くものと思って飲んでいる薬 落合文彦
  8   金庫には万病に効く常備薬 山本 宏
   効きすぎて庭木を枯らす除草剤 水野 二
  7    ゆっくりと効く方が良い便秘薬 加藤吉一
   おやすみなさいそろそろ毒が効く頃だ 前田須美代
   6 少しでも昼間の酒は効いてくる 小出順子
    無視をした妻の忠告後で効く 高柳閑雲
    少しだけ効いて大きい副作用 吉崎柳歩
    賽銭が効いたか運が向いてきた 岩田眞知子